【スペイン】フランスを圧倒し首位奪回。W杯連覇に死角はあるか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 後半に入ると、その差はさらに著しくなった。前半、テンポがいまひとつ上がらなかったスペインのパス回しは、およそ2割増しになった。前半は支配こそしていたものの、安全運転だった。崩しに入るパス、敵陣の深層部まで侵入する回数が少なかったが、後半はその回数が増した。思い切ったプレイが出始めていた。

 後半13分、右ウイングのポジションでボールを受けたペドロは、これまでにない激しいアクションで中央にカットインすると、逆サイドで構える左サイドバック、モンレアルに大きなサイドチェンジ気味のパスを送球した。ケガのジョルディ・アルバの代役として登場したアーセナル所属の左サイドバックは、そのボールに競りかけようとしたフランスの右サイドバック、ジャレをトラップと同時に外すと、これまた大胆なアクションで前進。ゴールライン際から折り返した。そこに飛び込んだのは、モンレアルにパスを送ったペドロ。パス&ゴーでそのままゴール前に突進すると、マイナスボールに誰よりも鋭く反応した。スペインに先制点が生まれた瞬間である。

 両者が接近した力関係にあるなら、次はフランスが押し返す番になる。リードされたチームが攻勢に転じるのが普通だが、この試合はそうならなかった。試合をコントロールしたのはスペインで、フランスの攻撃機会は前半同様、少なかった。

 0対0の間は、逆襲に頼るフランスのサッカーも作戦としてそう悪いものに見えないが、リードされると物足りなく映る。支配率を高め分厚い攻撃を仕掛けよう、スタンドを満員に埋めた観衆の前でいいところを見せようとするものだが、その機会はあまりにも少なかった。マテュイディとリベリーがきわどいシュートを放ったが、その盛り上がりが継続しないところにフランスの問題があった。

 試合はこのままタイムアップ。スペインがI組で再び首位に座に返り咲くことになった。

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