【イングランド】ハットトリックの香川真司「生きる形を示せた」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

ノリッジ戦に先発フル出場、ハットトリックを決めた香川真司ノリッジ戦に先発フル出場、ハットトリックを決めた香川真司 マンチェスター・ユナイテッドの香川真司がノリッジ戦でハットトリックを達成した。しかも先制点は、香川にとっても約5ヵ月ぶりの喉から手が出るほど欲しかったゴールだ。ハットトリックの記録はJ2時代にまでさかのぼらなければならない。それでもこの日の香川には派手なガッツポーズもなければ、笑顔も雄叫びも控えめだった。

「僕もまさかこんな時にハットトリックが取れると思っていなかったですし、本当に良かったですね、とりあえず」

「こんな時に」とは、チャンピオンズリーグのレアル・マドリード戦以降、2戦連続で出場がなく(レアル戦をはさみ、国内では計4試合出場なし)、久々に起用されたこのノリッジ戦でという意味に加えて、レアル戦のセカンドレグに向けてアピールを意気込んでいた矢先、という意味もある。驚くほど絶好のタイミングで結果が出たのだ。その割に、静かな笑顔をたたえただけなのは、まだまだ思ったほどの活躍ができていないと本人が感じている、ということなのだろうか。

 この試合、香川はまずは4-4-2の左MFで出場した。2トップはルーニーとファン・ペルシー。右にはバレンシアが入った。引き気味に入ったノリッジは、ゴール前をがっちり固めている。最後を崩し切れないマンUのファーストシュートは前半25分のキャリックのものだった。シュートまで持っていけず、手詰まりになるマンU。もっとも相手も守備に人数を割いているため、マンUのピンチもほとんどなかった。香川は左MFとはいえ、中央やゴール前に積極的に動き回った。なかなか前を向くことはできないが、それでも多くボールに絡んだ。

「やっぱり前にボールが入ったときに、ルーニー、ファン・ペルシーが自分を見てくれる。 だから、そこに入ったときのスイッチ、自分の動き出し、というのを意識しました。動きの中で質を高めていき、自分がどんどん動いて、前向きな状況でもらえるスペースを探して、止まらないでやっていこうというのを意識しました」

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