【ドイツ】上位対決に完敗。今、乾貴士が直面している問題 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 乾自身、積極的にボールを受け、フランクフルトの攻撃を組み立てた。それでも、決定的なシュートシーンをつくりだすには至らなかったのだから、乾が厳しい言葉ばかりを並べるのも不思議はない。

「(ドルトムントの守備が)真ん中は堅かったし、そこ(シュート)までいく形ができなかった。最後はシュートで終わらないとカウンターも食らうし、そういうところはしっかりやっていかないと」

 しかし、乾に対する厳しい洗礼はこれだけにはとどまらなかった。

 後半に入り、フランクフルトはドルトムントに決定的な3点目を許すと、乾は74分に2枚目のイエローカードを受けて退場処分となるのである。

 思うようにパスが回らず、なかなか攻撃が組み立てられない時間帯でも、乾は積極的に動いてパスを受け、自らドリブルで仕掛けた。狭いスペースでも怖がることなくボールを引き出そうとする姿勢は、実に頼もしく見えた。そんな乾を味方も信頼し、ボールを預けていた。

 ところが、2枚のイエローカードはいずれも乾がパスを受けたところでボールを奪われ、すぐに取り返そうとして相手を引っ張り、ファールを取られてのものだった。乾が振り返って言う。

「(ボールを奪われたら)必死にディフェンスしないと、特にこういう相手にはすぐ点を取られるし、体を張らないといけないところもある」

 確かに、こうした一連のプレイは乾の守備意識が向上した結果と見ることは可能だろう。また、乾が「(イエローカードの)1枚目は仕方なかったと思うが、2枚目はあれで退場っていうのは納得いかない」と話していたように、客観的には厳しい判定にも見えた。

 だが、2枚のイエローカードがともに自らのボールロストが発端だったことを考えると、軽率なプレイだったと言われても仕方がない。劣勢の試合にあって、乾の積極性は際立っていただけに惜しまれる。

 そんな乾と対照的だったのはドルトムントの10番、弱冠20歳のドイツ代表MFマリオ・ゲッツェである。

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