【フランス】2002年W杯、フランスがグループリーグで敗退した理由
2000年ユーロで優勝、トロフィーを掲げるジダン(左)とアンリ最強の代表が崩壊するとき(2)~フランス編
1998年フランスW杯。フランスは決勝でブラジルを3-0で下し、世界一に輝いた。内容はまさに完勝だった。
前回(1月5日掲載「最強のブラジル代表はなぜW杯で優勝できなかったのか」)も述べたとおり、97年のブラジルは半端ではなく強かった。わずか1年ではあったが、ブラジル代表史上最強のチームだった。黄金の4人を擁してスペインW杯に臨んだ82年型のブラジルより、世界との比較において強かった。僕はそう思っている。
そしてその強いイメージが残るブラジルにフランスは完勝した。その4年後のW杯で、フランスがグループリーグ落ちの憂き目にあうことを予想した人は、その時、皆無に等しかったと思われる。
98年W杯優勝に続き、ユーロ2000も制することになったフランスは、さらなる安定感、大横綱のような鷹揚とした風格を備えるまでになった。ブラジルのような布陣的な問題を抱えているようにも見えなかった。
大エースであるジダンが、レアル・マドリードの一員として臨んだ、01~02シー ズンのチャンピオンズリーグ決勝対レバークーゼン戦で、スーパーボレーシュートを決め、優勝の立役者となったことも追い風になった。
ジダンは喉から手が出るほど欲しかったチャンピオンズリーグのタイトルを、自らの手で、しかも後世に語り継がれるような鮮やか極まりないゴールで手に入れた。エースが精神的に乗った状態で本番を迎えるフランスの前評判は、これでさらに上昇することになった。フランスはアルゼンチンとともに優勝候補の筆頭に挙げられていた。
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