2012.11.04

【スペイン】 モウリーニョに育成は無理!?
ユース組織に課題を抱えるレアルの未来図

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko
  • photo by Getty Images

昨シーズンはリーグ優勝を達成し着実に結果を出しているモウリーニョ監督 現在、レアル・マドリードを率いているジョゼ・モウリーニョ監督は、「今、勝てるチームづくり」を行なうことで知られている。とりわけ、チェルシー、インテルではその傾向は顕著だった。即戦力になる選手を次々と獲得し、選手育成やチームづくりに時間を費やすことなく、すぐに結果を残す。任務を完璧に果たすタイプといえる。

 ところが、スペインリーグに来てから、そのやり方に批判が飛ぶようになった。モウリーニョが去った後は、焼野原のごとく根絶やしにされ、クラブに何も残らない。この2年で、モウリーニョはそういった批判を耳にタコができるほど聞かされてきた。理由のひとつに、宿敵バルセロナが20年以上の時間をかけてカンテラ(育成組織)を作りあげ、そのモデルが成功していることがある。

 モウリーニョのスタイルが誤っているわけではない。それは、彼がこれまでに得てきた数々のタイトルが何よりも雄弁に物語っている。カンテラ出身の選手を率いるのと、さまざまな国、異なる文化圏から来た、エゴが強く、優秀な選手の集まりをまとめていく能力は別物であり、モウリーニョの長所はその動じないリーダーシップの強さにあるのだろう。実際、モウリーニョの下で働いた選手達に話を聞くと、驚くほどにモウリーニョのことを褒める。それも素直な称賛なのだ。あまりにも外側から見える顔と選手が語るモウリーニョにギャップがあるので、これが彼の手腕の真髄なのかと舌を巻くことになる。

 とはいえ、レアルのファンがバルサを見てうらやましく思う感情もこれまた自然なものであり、GKカシージャスのような生え抜きの選手がなぜもっと育たないのかという疑問が生まれるのも、もっともだ。

 カンテラについて聞かれたモウリーニョは、「カンテラ選手起用の継続? 一番大事なのは勝つことだ」と答え、続けて、カスティージャ(レアル・マドリードBの正式名称)のアルベルト・トリル監督に対して剣を抜いた。