【イングランド】マンチーニもシティのやり方にすぐにはなじめなかった (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki
  • photo by GettyImages

 フレイグは仕事のときもシティのTシャツに半ズボン姿で、とても健康な体の持ち主であることがわかる。彼はリニューアルしたばかりのジムに僕を連れていってくれる。ジムの壁には、モハメド・アリの言葉が掲げられている。「勝負は人の目が届かないところで決まる。ラインの向こう側で、トレーニング場で、あるいは道端で。それは、脚光を浴びるすてきなダンスが始まるはるか前のことだ」

 このあたりは、シティのスポーツ科学・医療チームが担当する領域だ。ピラティスや栄養学の専門家など、フルタイムのスタッフが17人いる。「このチームがいちばん力を入れているのは、けがの予防だ」と、フレイグが言う。モハメド・アリの精神を受け継ぐシティの選手たちは、試合のために準備をするだけではない。トレーニングのためにも準備をする。練習の前に「起動前トレーニング」と呼ばれる15分のウォームアップを必ず行なっている。

 昨シーズンのプレミアリーグで、けがをした選手の数と欠場期間を掛け合わせた数字が最も小さかったのがシティだった。アスリートのけが予防の専門サイト「フィジオルーム・ドット・コム(physioroom.com)」によれば、昨シーズンのシティは選手が14日間以上プレイできない「重大な負傷のケース」が7件にとどまっていた。シティと最後までリーグ優勝を争ったマンチェスター・ユナイテッドは、この数字が39件でリーグ最悪だった。
(続く)

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