2012.06.28

【EURO】スペイン三冠に王手も「ポルトガル戦はラッキーだった」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 原悦生●撮影 photo by Hara Etsuo

ポルトガルに勝利したスペインが決勝へ進出し、ユーロ連覇に王手 スペインに起こっている”異変”は、すでに前半から明らかだった。

 本来、ボールポゼッション率で相手を圧倒し、試合の主導権を握るのがスペインのスタイル。その数字が60%台後半に達することさえ珍しくないスペインが、ポルトガル戦の前半は56%にとどまっていた。

 それだけではない。前半のシュート数はわずかに3本。そのすべてが枠外シュートで、CKはただの1本もなかった。ポルトガルが築く強固な守備ブロックの前に、スペイン自慢のパスワークを持ってしてもゴールに近づくことができなかったのである。

 攻撃と守備は表裏一体であるとは、よく言われることだが、この日のスペインがまさにそうだった。

 スペインは攻撃が好調なとき、必ずと言っていいほど守備でも強さを見せる。すなわち、ボールを奪われても相手のカウンターを許さず、すぐに奪い返して、逆にクロスカウンターを放つのがスペインの強さなのだ。

 ところが、この日のスペインはほとんどクロスカウンターを出せていない。つまり、そもそも味方同士がいい距離感でパスをつなげていないから、ボールを奪われたとき、すぐに囲い込んで奪い返す準備ができていなかったのだ。

 対照的に、ポルトガルは高い位置からボールにアプローチし、守備ブロックのなかにボールが入ってくると複数の選手で挟みこむ。そうした組織的な守備が実によく機能しており、奪ったボールはシンプルに前線へつなぎ、効率よく攻撃に転じていった。

 ひと固まりになった白のユニフォーム(ポルトガル)の周りを、恐る恐るなかの様子をうかがうように赤のユニフォーム(スペイン)が取り囲む。ピッチ上には、そんなデザインが描かれていた。これでは赤がゴールに近づけるはずはない。