【EURO】ポルトガルに完敗。優勝候補オランダはなぜ崩壊したのか

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 原悦生●写真 photo by Hara Etsuo

2ゴールをあげ、オランダをグループリーグ敗退に追い込んだC・ロナウド2ゴールをあげ、オランダをグループリーグ敗退に追い込んだC・ロナウド オランダのグループリーグ敗退が決まった。組み合わせ決定時から、死のB組と言われただけのことはあり、2試合終了時点で全チームに決勝トーナメント進出の可能性が残る混戦ぶり。その時点で勝ち点6のドイツが飛び抜けていただけで、他の3チームには大きな差はなかった。

 勝ち点0でこの試合を迎えた最下位のオランダの突破は、ドイツが勝利した上で自分たちがポルトガルを2点差以上で下すことが条件。自力も他力も必要な厳しい条件ではあるものの、可能性は0ではなかった。だが、オランダはあまりにもあっさりとそれを放棄してしまった。残念ながら凡庸としか言いようのない内容に終わった。

 予選37得点というオランダの圧倒的な得点力の原動力は昨季ブンデス得点王のフンテラール。8戦12得点と、あり得ない数字を叩き出してきた。それが本大会では2試合目までベンチに控えた。やはりファン・ペルシーのほうが上ということなのか、ロッベン、スナイデル、アフェライという2列目の選手たちにも劣るということなのか。

 ポルトガル戦前日、ファン・マルバイク監督の記者会見で飛び交ったのは、「どのようなスタメンで戦うのか?」「戦術を変えた方がいいのではないか?」「フンテラールを使ってクロスを入れて攻撃したほうがいいのではないか?」といった質問だった。複数の記者が繰り返し同じ内容のことを聞くから、押し問答のようなけんか腰のやりとりに終始したが、それほどオランダメディアのフラストレーションはたまっていた。指揮官の答えは「何かを変えるだろう。試合を見てくれ」の一点張りで、苦しさが伝わった。

 そのポルトガル戦で、フンテラールは先発の座をつかんだ。4-3-3というよりは4-2-3-1で、フンテラールはゴール前に張ってボールを待ち受ける。ファン・ペルシー、 ロッベン、スナイデルは自在に動き、チャンスを作った。だが中盤でファン・ボメルを欠くこともあって、どうにもボールをキープしてゴール前に運ぶ形にならない。それぞれが単発でゴール前に迫るだけで、終わってみればフンテラールのシュートは0本だった。

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