【EURO】連覇に暗雲? 優勝候補スペイン代表の不安要素 (2ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 Text by Yamamoto Michko
  • photo by Getty Images

 前回4年前のユーロではスペイン代表のエース格だったトーレスだが、最近はビジャの影になっており、今回最終的にリストに入ったものの、トーレス自身「初めてA代表に招集された時よりも嬉しい」と話すように、本人も今回の招集を危ぶんでいた。

 もうひとりのジョレンテ(アスレティック・ビルバオ)は、今季リーグ戦で17ゴールをマークしており、スペイン人最多得点選手。だが、実はこのゴール数は、最終的に招集リストから外れたソルダド(バレンシア)と同じ。同じ結果を残しながら、明暗が分かれる結果となった。

 このふたりの控えとしての第3FWのポジション争いも注目されていたが、前述のとおりソルダドは選出されず、代わりにネグレド(セビージャ)が選ばれた。ただ、言うなればこれは、ジョレンテかトーレスを必ずスタメンで使うというデル・ボスケ監督の暗黙の意思表示とも言える。

 もしも、ソルダドを選出したら、必要以上のスタメン争いがチーム内で勃発する可能性が高く、ユーロまでわずかな時間しか残されていない今、チームをまとめあげることも考慮して、こうした選出になったのだろう。

 ユーロに向けて調子をあげてきたペドロ(バルセロナ)は、今季あまり招集されていなかったが「サイド攻撃にスピードのある選手が必要」(デル・ボスケ監督)なことからの抜擢となった。もちろん、国王杯決勝でバルセロナを勝利に導いたペドロのゴールがこの決断を容易にしたことは言うまでもない。

 中盤は、シャビ、イニエスタ、セスク、ブスケッツのバルセロナ組にシャビ・アロンソ(レアル・マドリード)を加えた5人で競うことになるだろう。とはいえ、バルセロナの選手の招集前に行なわれたセルビアとの親善試合で試した「プランB」、シャビ・アロンソ、ネグレド、ヘスス・ナバス、カソルラで構成された中盤は、まったくといっていいほど機能しなかったので、おそらく前回のワールドカップ同様、中盤はバルセロナ組の布陣になり、そこにダビド・シルバ(マンチェスター・シティ)が加わる形がもっとも攻撃的なスペイン代表の形になると思われる。

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