【ドイツ】ドルトムント2連覇達成、香川真司「これがすべてではない」 (2ページ目)
待望のシーンは後半14分、GKから始まったカウンターだった。左サイドのシュメルツァーからの縦パスにレバンドフスキーが追いつく。香川は自陣からゴール前に走り出していた。レバンドフスキーがタイミングを見てクロスを入れると、香川はGKの動きを見極めてかわし、左足シュートを逆サイドに突き刺す。
「キーパーをかわしてタイミングをずらして打とうと思ったら、うまくいった。最高だった。前半にも後半にもチャンスはたくさんあった。1点リードはしたけれど、それでは危ないと思っていて、でも決まらなかった。だからこそうれしい」
サポーターに向かってガッツポーズをする香川。そこをめがけてダッシュするクロップは、直前でちょっとつまずきながら、香川をまるで大切な子供のように抱え上げた。
「監督が走ってくるのが見えていた。直前で転んでオチを作って(笑)。みんなシュートでなくてそっちに気をとられたんじゃないかな」
失敗しても失敗してもめげなかったのが今季の香川だ。昨季のようにシーズン冒頭に強いインパクトを与えてスタートしたわけではなかった。1年目の自分の実績を上回ろうという強いプレッシャーに苛まれながら、負傷あけのままならないコンディションを克服しようやくここまでこぎつけた。そんなシーズンを振り返って語る。
「苦しかった。その分精神的に強くなったと思う。サッカー選手として良い経験になったし、今後にいかさなければいけない」
めげずにゴールに向かい続けたこの試合と今シーズンが重なって見えた。今季の香川を凝縮したような一戦であった。
決して調子が悪かったわけではなかったが、後半28分には、後半戦、負傷離脱していたマリオ・ゲッツェと交代でピッチを後にした。来季の契約延長を早々と決定していたゲッツェを晴れの舞台に立たせ、香川を下げる。このシーンに何かを感じるのは深読みのしすぎだろうか。
「2年連続優勝は、巡り会いとか奇跡とかに近い。このチームに巡り会えてよかった。サポーターやスタジアム、すべてに感謝したい。ただやっぱりこれがすべてではない。素晴らしい環境でプレイできているのは間違いない。もうここからはしっかり自分で決めたいと思います」
余韻にひたりつつも、言葉のいたるところで先を見据えていることをにおわせる。これがすべてではない。優勝直後にそう言い切れる強さが、今の香川にはある。
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