【Jリーグ】イニエスタはサッカーの本質を教えてくれた 「バルサの天才少年」の記憶を辿ったクラシコの夜 (3ページ目)
【バルサの哲学が継承されている】
記憶のドアが開いたのは、クラシコから数日後だった。
2001年の春に、バルセロナでハビエル・アスカルゴルタさんにインタビューをさせてもらった。横浜マリノスの監督として日本サッカーに触れ、ボリビア代表監督としてワールドカップで采配を振るったことのある彼に、日韓ワールドカップでの日本代表の可能性を聞く、という内容だった。
用意した質問にすべて答えてもらうと、話題はバルサに移った。「ファン・ハールのサッカーには、どうも面白さを感じないんですよ」と僕が言うと、アスカルゴルタさんは「ハハハ」と声を上げて笑った。
「でも、それも、もう少しの辛抱だ。ラ・マシア(バルセロナの育成組織の総称)では、すばらしいタレントが育っている。そのひとりがアンドレスだ。身体は大きくないけれど、ものすごい才能を持ったMFだよ」
僕は「シャビ・エルナンデスのような選手でしょうか?」と聞いた。アスカルゴルタさんは「そう、そう、そう」とスペイン語で繰り返した。
「シャビもアンドレスも、バルサのカンテラで育っている選手だから、技術がしっかりしているのは間違いない。ボールタッチはとても柔らかくて、テンポよくボールを動かして、難しいパスをいとも簡単に通してみせる。ピッチを俯瞰(ふかん)できるスタンドからはよく見えるけれど、ピッチレベルでは見えにくいスペースを、彼らは的確に見つけることができる。
だから、観客はそのプレーに酔いしれる。アンドレスはバルセロナ出身ではないけれど、生まれながらのバルサの選手のようだ。グアルディオラ、シャビ、アンドレスと、バルサの哲学が継承されている」
ここで通訳の方が、「アンドレスはファーストネームで、日本的に言うとイニエスタになります」と注釈を入れてくれた。僕らのやり取りを聞いたアスカルゴルタさんは、「ああ、そうか。ごめん、ごめん」と笑った。
「グアルディオラやシャビがそうであるように、イニエスタも試合が求めることをプレーで見せられる選手だ。自分が持っている技術や戦況を読む力を、試合が求めるもののために使うことができる。試合が求めるものというのは......」
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