【Jリーグ】柏レイソルを変貌させたリカルド・ロドリゲス監督「優勝できる力はあるし、自信もある」 (3ページ目)
――チーム作りにおいては、センターラインに主要選手を置いていく手法が一般的ですが、監督もそのやり方で進められたのですか。
「センターラインを重視する監督もいますが、私はそのような捉え方をせず、11あるすべてのポジションが重要ですし、(ピッチに立つ)11人すべてが主役だと思っています。すべてのポジションが機能しなければチームとしても機能しないので」
――チームに戦術を落とし込む際には、どういった形で進めていくのでしょうか。
「段階的にすべきことを伝え、選手がそのコンセプトを理解し、練習で何度も繰り返していきます。ここで大事なことは、急ぎすぎないことです。(新たなチームを率いると)どうしても選手に多くを伝え、すぐに次から次へと違うことを教えてしまいがちですが、これは習得のプロセスとしては適切ではありません。
私はスペインで指導を始めましたが、その際、一日にひとつのコンセプトをトレーニングし、翌日には異なるコンセプトに取り組みました。選手はいろんなアイデアに触れられますが、結果的にほとんど習得できず、時間だけがすぎていったのです。
そうした経験から、反復しなければ選手は学べないと理解したので、柏では心理学的要素を加えながら、(選手たちには)反復の時間を与え、確実に自分のモノにしていけるようにしています」
――今の柏のサッカーは、戦術的なベースや狙いがあって、ロジックに相手を崩していくスタイルですが、同時に選手の特徴を生かしたサッカーも展開。さらに、対戦相手によっても戦い方に違いが見受けられます。
「選手の特徴を生かすことは、浦和を率いていた時に、より考えるようになりました。最初のシーズンは、中盤に攻撃よりも守備が得意な選手が多くおり、その特徴を生かして中盤を構成していました。2年目は、(全体的に)攻撃的な選手が増え、自分のスタイルを目指すことができました。
柏でも(戦術のなかで)すべきことは各選手に求めますが、枠にはめることを優先してしまうと、(選手は)そこにとらわれてしまい、合わない選手が出てきてしまいます。私は、出場する選手の個性を生かして、それを最大限に引き出すスタイルが今の柏の姿だと思っていますし、それが柏の強さだと思います」
(つづく)
リカルド・ロドリゲス監督
1974年4月3日生まれ。スペイン出身。若くして指導者の道を目指して、最初はスペイン下部リーグの各クラブを指揮。その後、サウジアラビアの代表スタッフを務め、タイ・プレミアリーグのクラブでも手腕を発揮した。2017年、J2の徳島ヴォルティスの監督に就任。4年目にJ1昇格へと導く。2021年から2年間、浦和レッズの指揮を執り、2024には中国スーパーリーグの武漢三鎮足球倶楽部を率いた。そして今季から、柏レイソルの指揮官となった。
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