【Jリーグ】J1夏の移籍で損しているクラブ 不十分な補強や戦力流出のままでいいのか (3ページ目)
【厳しい補強状況】
17位で降格圏と紙一重の位置にいる湘南は、この夏に福田翔生がデンマーク1部のブレンビー、畑大雅がベルギー1部のシント・トロイデン、鈴木淳之介がデンマーク1部のコペンハーゲンと、主力の3人が欧州へと旅立った。
海外志向のある選手たちを送り出すという面ではよかったが、湘南の置かれている状況としては非常に厳しい。浦和から二田、アルビレックス新潟からFW太田修介を獲得して福田と畑の穴埋めはできたかもしれない。
ただ、日本代表DFである鈴木の後釜は、いまだ補強できていない。直近の失点の多さから見ても、鈴木の穴は大きい。守備者としての能力の高さだけでなく、ビルドアップの質もリーグ屈指のレベルだった。代わりのDFを見つけるのは簡単ではない。
残留するためには、今の失点の多さをどう解決するかがキーになる。毎年苦しみながらも残留を果たしてきた湘南の粘り強い残留力を、今季も発揮できるか。
19位の横浜FCは、2022年から指揮を取っていた四方田修平監督を7月23日に解任し、後任には三浦文丈コーチが内部昇格で就任した。
リーグ再開に向けて補強を行なった。トルコ1部のコンヤスポルからJリーグで実績のあるGKヤクブ・スウォビィクを獲得できたことは大きい。ただし、直近6連敗のなかで2点しか取れていない深刻な得点力不足に対し、補強したのがブラジル人FWアダイウトンである。
ジュビロ磐田やFC東京などで実績があるアタッカーだが、34歳という年齢から全盛期のようなキレやスピードを期待するのは難しい。残留に向けた起爆剤になれるかと言われると不安は残る。
守護神スウォビィクを中心に失点を減らし、チームでどう得点力不足を補っていくか。そこが奇跡の残留への分岐点だろう。
著者プロフィール
篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。
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