【高校サッカー】県24連覇、県内公式戦418連勝の青森山田をついに倒した! 野辺地西が初の全国の舞台インターハイに臨む (2ページ目)
【インターハイ予選決勝】
「自分たちの代はずっと弱い代と言われてきたので、それを見返してやろうと思っていました」。新チームの10番を背負うMF阿部莞太の言葉に力がこもる。前年のチームが期待を集めていたのに対して、自分たちに力がないことはわかっていた。
「今年の僕らは技術のない代なので、一人ひとりがみんなで頑張って勝っていくチームです」。打倒・青森山田を掲げて、東京から青森へとやってきたGK喜村孝太朗は、現在地を冷静に把握していたひとりだ。
とにかく欠かせないのはチームの一体感。スタメンの半分近くは下級生が占めるなかで、3年生たちは雰囲気づくりに腐心する。迎えたインターハイ予選。決勝まで勝ち上がった八戸学院野辺地西の相手は、言うまでもなく青森山田。「今日はアップから応援も全員が声を出してくれて、『いい雰囲気だな』と感じていました」(阿部)。
ピッチも、スタンドも、この試合の勝利のために全力を出し尽くす準備は整っていた。
前半2分。いきなりの決定機は八戸学院野辺地西。MF野城怜のシュートは相手GKのファインセーブに阻まれたものの、8分にはDF橋本楓琉のクロスに阿部が合わせたヘディングがゴールへ吸い込まれ、先制点を手繰り寄せる。
以降は青森山田の勢いを受け止めながら、藤田は重ねてきた経験値がチームにもたらすポジティブな影響を実感していたという。
「半年前の新人戦で山田とやった時に、『思いきってやれば、意外と自分たちもある程度はやれるな』と感じてはいたんです。その『意外と』が大事で、ひとつ前を向くとか、ひとつ運ぶとか、ひとつ走るとか、細かい部分なんですけど、そういうところを積み重ねていくと自分たちにもやれる感覚が出てくる。それを今日は本気で思いきりぶつけて戦えました」
オレンジの戦士は勇敢だった。後半19分に同点弾を許しても、次の1点を目指して、懸命に前を向く。すでに交代でベンチに下がっていた藤田は、ピッチ上のチームメイトたちに頼もしい姿を見せつけられたことで、心の中が熱くなっていた。
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