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【Jリーグ連載】東京ヴェルディの育成において「虎の巻があるとすれば、それはこのグラウンド」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 荒地を開墾したばかりの土地と、長年にわたって水や肥料を与え続けた土地。一見しただけなら同じ土かもしれないが、作物の育ち方が違えば、出来栄えも違う。ヴェルディの練習グラウンドは、いわば"肥沃な大地"というわけだ。

 ヘッドオブコーチングを務める中村忠もまた、ヴェルディのアカデミーに「"虎の巻"があるとすれば、それはたぶん、このグラウンドなんですよ」と表現する。

「それ(ヴェルディの育成方法)は、僕らも可視化できるものではないし、メソッドはあるんですけど、別にそれは昔からあったものではない。そうなると、(育成の秘訣は)すべてのカテゴリーが常に共有してきたこのグラウンドにあるのかなって思います」

 実際、小笠原はヴェルディでの指導歴がすでに19年目になるが、クラブの指導方針に沿ったマニュアルや練習メニューの類を目にしたことは、ほとんどないという。

「そこが、ヴェルディのすごいところだと思うんです。今も、本当にざっくりしたものはありますけど、もうほとんどコーチに委ねられている状態です。それでも、みんなのアプローチは違うにせよ、不思議と同じようなところに行きつくっていう(笑)。

 その文化が根づいているからか、その血が脈々と受け継がれていく。結局、みんなヴェルディの根幹となっているものが好きなんだと思います。だから、それに触れると、みんなそういうふうになりたいとか、子どもたちにそういう選手になってもらいたいとかって思うから、みんな似てくるじゃないのかな」

 何より小笠原自身が、その"洗礼"を受けたひとりなのだ。

「自分はここに入って、サッカーのなかで10 あるうちの2ぐらいしか知らなかったなって気づかされました」

 小笠原が笑顔で続ける。

「アカデミーの選手を見ていても、『うわっ、そこでそんなプレーできるんだ!』とか、『自分には、そんなアイデアはなかったな』と思いますし、それは他のコーチたちと一緒にボール回しをしていても思います。だから、ここで指導方法を学んだ記憶は、ほとんどないんです。

 それよりも、ここでサッカーをする人たちに触れることで、サッカーの深みとか、幅とか、そういうものを学んでいった気がします。あのプレーができるようになるにはどうしたらいいのかとか、どういうトレーニングしたらいいのかとか、そういうことを考える毎日でした」

(文中敬称略/つづく)

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