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興梠慎三が選ぶスゴいと思ったFWランキング「本物の化け物」「僕の師匠」「ザ・ストライカー」という選手たち (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【"師匠"から"規格外"まで】

4位 柳沢敦(元鹿島アントラーズほか)

 柳沢さんは僕の師匠と言える存在です。僕はMFでプロになったんですけど、1年目にFWにコンバートされて、どう動けばいいかわからなかったなかで、柳沢さんの存在は大きかったです。

 それまでは「自分がゴールを決めて勝たせよう」とそういう思いが強かったんですけど、柳沢さんと出会って変わりました。ニアで自分が潰れて味方にスペースを作るのもFWのひとつの役目で、それで点が取れれば大きな仕事をしたことになるんですよね。

 チームを勝たせるのは、こういうこともあるんだなと。「1回動いてボールは出てこないのは当たり前。2、3回と動かないと」というのは、試合を重ねるごとに実感して、「こういうことだったんだな」と思った言葉です。

 柳沢さんのプレーを盗むだけじゃなくて、ミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)のサッカーでポストプレーという武器も身につけました。いろんな人との出会いが大事でしたけど、そのなかでも柳沢さんとの出会いは一番大きな出会いでしたね。

3位 大迫勇也(ヴィッセル神戸)

 僕が鹿島に入ってレギュラーになり、2年目くらいですね。「高卒のすごいやつが来る」と言われて、それが大迫勇也でした。正直、「高校生でしょ」と思っていたんですけど、実際に見たら規格外でした(笑)。とにかくうまかったです。

 僕がこれからスタメンで、3連覇に向けていこうというところで、一瞬ですけどポジションを奪われたんですよ。あの衝撃は、今思い返してもサッカー人生で一番悔しかったかもしれない。

 いろんな能力が優れていますけど、とくにすごいのはキープ力。高卒1年目で、まだ体も出来上がっていないのに、プロのDFを背負ってプレーするなんて簡単にできることじゃない。そこは加入時で、すでに高校生ではなかったです。

 ボールの落下地点の見極めがとにかくうまくて、そこをいち早く察知して相手を入らせないし飛ばせない。僕もそこは得意なのでわかりますけど、本当にうまいですよね。今では神戸の戦術の柱で、彼の出来で勝敗を分けるくらいの存在だと思います。

2位 佐藤寿人(元サンフレッチェ広島ほか)

 もう"ザ・ストライカー"ですよね。エースとは何かと聞かれたら、寿人さんをイメージします。寿人さんは足元でいろいろやるタイプではないですけど、とくにペナルティーエリア内の駆け引き、相手の裏を突くというところは、ずば抜けていました。

 寿人さんで印象にあるのは、やっぱりワンタッチゴール。簡単なように見えるのは、そこまでの駆け引きで完全に相手のマークを外しているということですよね。そのワンタッチに至るまでを逆算した動き出しが、僕はすごいと思います。

 僕と違うのは、寿人さんは自分のタイミングで動き出して、出し手に合わせろと要求するタイプ。僕は出し手のタイミングに合わせて動くタイプなんですよね。だから青ちゃん(青山敏弘)とか、柏木陽介は大変だったと思いますけど、寿人さんに育てられたと思いますね。

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