2024年Jリーグの話題の中心 FC町田ゼルビアのJ1初挑戦は予想以上の快進撃と風当たりの強さ (4ページ目)
【批判の理由となったラフプレーについて】
町田が批判の的となったもうひとつの理由に"ラフプレー"がある。これについて昌子は「正直、今シーズンのうちはそういうのが多かったと思います」と認める。確かに判断の遅れや相手に上回られて、アフター気味にタックルが入ってしまう場面はあった。
また、ボールと関係ないところでのタックルも町田の批判でよく目にしたものだ。それに関しても昌子はチームメイトに強めに注意してきたという。ある選手にはこう諭したこともあると明かした。
「もしいつかほかのチームに移籍するとなった時に、そのチームのサポーターはお前を受け入れてくれるか? チームが受け入れた以上、サポーターに拒否権はないから『しゃあなし』となるけど、お前を本当に認めるまでに絶対に時間がかかるぞ。お前の一つひとつのプレーに『こいつはこういう選手』というイメージがついて回るし、それは簡単には覆らない」
その選手に期待しているからこその説教である。第37節京都サンガF.C.戦でイライラが募ってラフプレーをはたらいたエリキに対して、昌子は口論になりながら収め、相手選手や曺貴裁監督にその場で謝罪を入れた。その姿勢を曺監督は称賛した。ラフプレーをはたらいてメリットはなにひとつない。昌子はそう繰り返していた。
確かに町田にそうしたラフプレーがあったのは事実だが、それはサッカーでは日常茶飯事でお互い様。実際にラフプレーを受けることも多々あったわけで、町田ばかりが一方的に批判されるべきものではない。
なかには意図的にレイトタックルをしているのではないかと思っている人もいるようだが、当然ながらそんなことはない。トレーニングでは強度の高さを求めながら「ファールするな!」というコーチングがセットだ。それでもそうしたファールがあったのは、単純に町田の力不足と言えるだろう。
著者プロフィール
篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。
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