ベガルタ仙台はJ1にいなきゃいけないクラブ ピッチで流した涙が郷家友太をさらに強くする (2ページ目)
【本当に刺激のある1年だった】
テレビカメラのライトから離れて、ペン記者に囲まれる。すでにいくつかの質問をさばいてきたが、試合を分析するには時間が足りないようだった。どれほど時間があっても、気持ちがまとまらないかもしれない。プレーオフ決勝とはそういうゲームである。
「まだあまり頭のなかがうまく整理できないんですけど、レギュラーシーズンを通して2試合とも気づいたら負けているっていうのが岡山戦だったんで。この堅い守備を最後まで、今日を含めて3試合を通して崩せなかった悔しさと、最後にJ1昇格を掴めなかった悔しさが今、ホントにあります」
郷家は宮城県多賀城市の出身だ。ベガルタ仙台のジュニアとジュニアユースに在籍し、ユアスタで試合を観戦し、サポーターとともにスタジアムに歌声を響かせた。
記憶にあるチームは、J1の舞台で戦っていた。だからこそ、「ベガルタ仙台はJ1にいなきゃいけないクラブだと思っています」と、ことあるごとに話してきた。
プレーオフ決勝を控えたオンライン会見では、「僕は小さい頃からJ1で戦っているベガルタ仙台を見ているので、1年でも早く昇格して、子どもたちがJ1でプレーするベガルタの選手を見て育ってほしいなと、本気で思っています。サポーターのためにも、子どもたちのためにも、全力で戦いたいと思います」。
2022年オフにJ1のヴィッセル神戸から完全移籍で加入したのも、生まれ育ったクラブをJ1へ戻したいとの思いからだった。
加入1年目の2023年は、チームトップの10ゴールをあげて攻撃を牽引した。2年目の今シーズンはゴール数こそ「5」にとどまったものの、フィールドプレーヤーでは2番目に多いプレータイムを記録した。ゴリさんこと森山監督は「ゴール数だけで測れない貢献度がある」と、その存在感をたびたび評価した。
「去年の僕は、点は取れてたんですけど、それ以外の献身性──走る・戦うという部分が、もしかしたらおろそかになっていた。ゴリさんが監督になってベースをチーム全体に植えつけていくなかで、自分も変わらなきゃいけないんじゃないか、このリーグで勝ち抜くためにもっと自分がやらなきゃって思った。そこはホントにゴリさんには感謝していますし、何気なく時間がすぎていたサッカー人生のなかで、本当に刺激のある1年だったのかなって思います」
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