Jリーグ終盤の大一番で露わになった「仕切りの悪さ」 試合の残り時間がわからない (2ページ目)
【残り時間を一切伝えなかったNHK】
ふたつ目の問題が起きたのは、その約1分後だった。神戸のMF扇原貴宏が蹴ったCKの跳ね返りに、後方で構えたSB酒井高徳がダイレクトでゴール前にロブを上げる。それを大迫がヘッドで落とし、DF広瀬陸斗がシュート。相手に当たった跳ね返りを武藤が枠内に蹴り込んだシーンである。
柏レイソル戦の後半アディショナルタイム、ヴィッセル神戸の同点弾が決まったが... photo by Kyodo news ところが副審はその直後、フラッグを上げた。オフサイドと判定した。そこから再びVARが始まる。判定はオンサイドに覆るのだが、その間に費やした時間は4分弱。これまた長かった。13分と表示されたアディショナルタイムを大きく超過していた。
繰り返すが、ジエゴの2枚目のイエロー(退場)から大迫のPK失敗に至るまで費やした時間は約7分。続いてこの4分だ。いったい残り時間は何分あるのか。観戦者はまたまた闇のなかに陥ることになった。
上記はDAZNの画面をもとにした話だが、NHKの中継を見ていた視聴者はもっと置いてけぼりを食らっていた。画面には「13分」さえ表示されなかったのだ。DAZNとNHK総合を比較すれば、視聴者の数は何倍も違う。Jリーグ的には、NHK様々だろう。にもかかわらず、Jリーグは残り時間をNHKに伝えなかったのか。放送事故とは言わないが、この仕切りの悪さは、あってはならない杜撰さであることは言うまでもない。伝えようとする気概、サービス精神が感じられないのだ。
VARのシーンにもそれは該当する。一目瞭然だったジエゴの肘打ちはともかく、問題はオフサイドの取り消しだ。なぜなのか。
酒井がゴール前にロブを蹴り上げた瞬間、次にプレーした大迫はオンサイドだった。副審は、オフサイドポジションにいたMF佐々木大樹と武藤がGKの動きに影響を与えたとしてオフサイドの旗を上げたが、VARの結果、「影響を与えてなかった」に変更したのだろう。審判団はゴールか否か、オフサイドか否かの審議に約4分間も費やしたが、そんな説明はなかった。画面を眺めながら、ただちに納得できた人はどれほどいるか。多くの方が狐につままれた状態だったと思われる。
大一番に相応しくない、Jリーグの権威を疑いたくなるサッカー中継だった。
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