Jリーグはクライマックスに突入! J1優勝争い&残留争いのキーマンは誰か (4ページ目)
【どのチームも苦しい残留争い。抜けるのはどこ?】
残留争いも僅差の戦いがつづく。第30節終了時点で、最下位・サガン鳥栖(勝ち点24)、19位・北海道コンサドーレ札幌(勝ち点25)は、残留圏の17位・湘南ベルマーレ(勝ち点32)とややポイント差が離れ、厳しい位置と言わざるを得ない。
一方、18位・ジュビロ磐田(勝ち点31)、17位・湘南、16位・柏レイソル(勝ち点33)は1試合の結果でひっくり返るポイント差だ。しかも柏、磐田は消化試合数がひとつ少ない。この順位はあくまでも暫定だ。
柏は直近のリーグ3連敗、前節は残留争いの磐田との直接対決にも敗れた。天皇杯も含めば公式戦4試合連続で失点が止まらず、チーム状況としてはかなり厳しい。寄せの甘い守備も気になる。キーマンを挙げるとすればFW細谷真大か。昨季は14得点もここまで4点ともの足りない。エースの得点でこの悪い流れを変えたい。
7月に3連勝と好調だった湘南。しかし、第27節・柏戦に敗れて以降、やや失速気味だ。そんななかで前節、一発退場のFWルキアンが3試合の出場停止。2列目のMF池田昌生が負傷離脱と主力ふたりを欠く危機。このピンチにFW鈴木章斗が奮起できるか。
磐田は前節の柏に2-0で勝利し、連敗を止めることができた。9試合ぶりのクリーンシートでの勝利で浮上のきっかけを掴みたい。大エースのFWジャーメイン良が軸ではあるが、それをどれだけ周りがサポートできるかだろう。
絶望的な状況に思えた札幌だったが、第24節・浦和レッズ戦の勝利から徐々に復調すると、第27節から3連勝を記録。湘南、柏との直接対決を残し、奇跡の残留がかすかに見えてきた。守備の穴を塞ぐアンカーの大崎玲央がチームのカギを握る。
夏に多くの主力が離れた鳥栖は直近8試合で1分7敗、監督交代でも状況は変わらず、挙げ句の果てにはFWマルセロ・ヒアンがケガで長期離脱。言うまでもなくもっとも厳しい状況にあるなかで、MF西矢健人のゲームメイクは希望となり得るか。
残り8節となっても1節の結果で順位が変動する状況で、正直、優勝も残留も行く末はまったくわからない。だからこそ、今季のクライマックスからは少しも目が離せない。キーマンを中心に各クラブが、この状況をどのように切り抜けるのか注目だ。
著者プロフィール
篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。
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