FC町田ゼルビアのような快進撃は欧州サッカーでも 資金力と成績に相関関係はあるのか? (3ページ目)
さらに、リーグ・アンで残留争いの常連とされていたエレベータークラブのブレストも、今シーズンは誰も予想できなかった怒涛の快進撃を見せ、3位でフィニッシュ。こちらもクラブ史上初めてのCL出場権を手にすることに成功し、ブルターニュ地方の端にある小さな街を大いに沸かせた。
ブレストの年間予算は、わずか4800万ユーロ(約81億8700万円)。さすがに昨シーズンの収入で約8億ユーロ(約1365億円)を記録し、今季優勝したパリ・サンジェルマンには及ばなかったものの、2億5840万ユーロ(約441億円)のマルセイユ、あるいは約2億ユーロ(約341億円)のリヨンをはるかにしのぐ好成績を残した今シーズンの快挙は、世界中のスモールクラブに夢を与える"おとぎ話"と言っていいだろう。
もっとも、今シーズンのジローナやブレストのようなスモールクラブの躍進は、近年のヨーロッパサッカー界ではレアケース。数年に1度あるかないかの出来事だ。
それに比べれば、まだ現在のJリーグは、資金力のないクラブでも工夫次第で上位に食い込める可能性は高いと言える。今シーズンの町田も東京Vも、それを証明しているクラブであることは間違いない。
野々村芳和チェアマンは、格差を助長する方向に突き進む施策を打っているだけに、いつまで群雄割拠の時代が続くかはわからない。そういう意味でも、ここまで好成績を残している両チームの今後の戦いぶりは、要注目だ。
著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)
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