FC町田ゼルビアのような快進撃は欧州サッカーでも 資金力と成績に相関関係はあるのか? (2ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi

【夢と希望を与えた小クラブの活躍】

 シーズン終了時にどうなっているかは神のみぞ知るだが、要するに、必ずしも資金力が上回るクラブが上位に位置するとは限らないということ。これは比較的、クラブ間の資金力の差が大きくないJリーグの特徴でもある。

 では、各クラブの資金力差が年々拡大しているヨーロッパサッカー界はどうなのか?

 ほぼ同じ顔ぶれのビッグクラブ間で優勝トロフィーを受け渡し合っている近年のチャンピオンズリーグ(CL)がその典型だが、プレミアリーグ(イングランド)、ラ・リーガ(スペイン)、セリエA(イタリア)の3大リーグでも、資金力のあるクラブが毎年のように優勝争いを演じている。また、ブンデスリーガ(ドイツ)やリーグ・アン(フランス)では突出した資金力を持つバイエルンとパリ・サンジェルマンの一強状態が続いている。
 
 そういう意味で、ブンデスリーガ初優勝を遂げたレバークーゼンが史上初の無敗優勝の快挙を成し遂げ、バイエルンの12連覇を阻んだことは、今シーズン最大のトピックだった。もちろん、レバークーゼンの資金力はリーグ内では上位にランクされるので、決してサプライズとは言えないが、それでも他の多くのクラブにとっては希望の光になったことは間違いないだろう。

 一方、夢と希望を与えたという点では、今シーズンのジローナ(スペイン)とブレスト(フランス)のほうが、特筆すべき躍進を見せたと言える。

 今シーズンのジローナは、開幕から好調をキープして、第8節のレアル・マドリード戦に敗れて以降、何と第23節(2024年2月3日)のレアル・ソシエダ戦まで15戦無敗の快進撃。最終的に3位でフィニッシュし、クラブ史上初となるCL出場権を獲得するなど、今シーズンのラ・リーガで旋風を巻き起こした。

 そのジローナが昨年12月には公表した今シーズンの予算は、5960万ユーロ(約102億円)。ジローナといえば、マンチェスター・シティの親会社でもあるシティ・フットボール・グループが株式の約半数を保有することでも知られているが、それにしても、昇格1年目のあたる昨シーズンを10位で終えたカタルーニャ地方のスモールクラブが、2022-2023シーズンに8億3140万ユーロ(約1420億円)という世界1位の収入を記録したレアル・マドリードと優勝争いを演じ、収入3億6410万ユーロ(約621億円)のアトレティコ・マドリードを上回る成績を残したことは、驚きに値する。

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