日本代表への招集は? J1得点ランクトップ、ジャーメイン良が覚醒した理由 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【ストライカーの嗅覚が「オン」に】

 トップが本命だったが、そこで試されても点が取れず、スーパーサブに降格。シュートの場面で力みが見られ、横浜FC時代はバーをはるかに越える「宇宙開発」も少なくなかった。結果、チームの強度が落ちてきたときの攻撃のオプション、という使われ方に落ち着いていたのだ。

 しかし、昨シーズンの磐田はFIFAから「補強禁止処分」を受けていたこともあって、否応なくトップを託された。おかげで、チームトップの9得点を記録。シーズンを通してプレーできた経験に加え、昇格につながったことが現在の自信に結びついたか。

 対人プレーでの身体の使い方、ラストパスの呼び込み方、ファーストタッチが目に見えて改善。鶏が先か卵が先か、同時に冷静さも増し、シュートで優位性を作ってネットを揺らしている。

 直近の第12節、東京ヴェルディ戦。2-2と同点に追いつくヘディングシュートは「世界」を感じられるレベルだった。自らが右サイドにパスを展開。そのままクロスのタイミングを計りながら、うまく開けたスペースに突っ込み、豪快に叩き込んでいる。ストライカーの嗅覚が「オン」になっている状態だ。

 12試合で11得点のストライカーを代表に招集することは、何も不思議ではない。

 日本代表を率いる森保一監督にとって、おそらく嫌いなタイプではないだろう。カウンターでスピードを武器にできる浅野拓磨、前田大然のバックアッパーといったところか。特にカタールW杯のような受け身の戦いを想定した場合、適した人材だろう。そして左利きのストライカーであることは貴重で、ストロングポイントだ。

 6月のミャンマー、シリア戦は、すでに最終予選進出が決まっている"消化試合"である。戦力の底上げを図る必要があるだろう。そこで、上田綺世(フェイエノールト)、古橋亨梧(セルティック)、南野拓実(モナコ)など、欧州組FWの誰かを招集しない場合、ジャーメインという選択肢はあり得る。得点王レーストップの日本人FWを代表に呼ぶことは、Jリーガーのモチベーションにもなるだろう。

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