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「能登に笑顔を 支えに感謝」石川県で被災した鵬学園高校サッカー部が奮闘中 (3ページ目)

  • 森田将義●取材・文 text by Morita Masayoshi

【復興までの道のりは遠い】

 4月から新年度がスタートしたが、復興までの道のりは遠い。地震の影響で体育館が使えなくなったため、体育の授業も教室でのラジオ体操や、廊下で腹筋をするなどしている。

 室内で活動するバドミントン部、男子バスケ部、バレー部、なぎなた部は周辺の高校の協力を得て、転々としながら活動中。グラウンドもひび割れが著しく、テニス部や野球部も校内での活動は難しい。

 サッカー部も学校のグラウンドが使えないほか、日常的に使用していた七尾市和倉温泉運動公園多目的グラウンドの被害が大きく、練習場所の見通しが立っていない。

「これからがより大変になっていく。私たちには地震の影響が残っていても、世の中はこれまでどおり進んでいく」

 赤地監督は、そう話す。地震発生から3月までは、高校サッカー界にとっては閑散期といえる時期で公式戦はなかったが、4月からは例年どおりリーグ戦が始まった。プリンスリーグ北信越1部を戦う鵬学園にとって、簡単ではない状況が続く。

 これまでは年間18試合のうち半分近くがホームゲームだったが、地震の影響で近隣の会場が使えず、今年はすべてアウェーゲームを強いられる。南北に長い北信越地方は、移動の関係で前泊が必要なケースが多く、これまでとは比べ物にならない費用がかかる。

 移動費も同様だ。鵬学園はこれまで遠方まで出向く部活動が少なく、サッカー部が学校所有のバスを使えていたが、前述のとおり今はほかの部活動も日々の練習や試合のために出かけなくてはならなくなったため、バスの空きがない。

 サッカー部も、これまではAチームが遠征に行っている間、他のカテゴリーは学校に残って活動していたが、これからはBチーム以下も出掛ける回数が増える。新年度は3学年で80人以上の生徒が在籍するため、今までどおりに活動するためには常時3台のバスが必要だ。そのため、サッカー部としてバスの購入費用を集める、クラウドファンディングを行なっているという。

 バスを用意できたとしても、運転手が必要になる。復興本部長として学校業務に奔走する赤地監督を含め、コーチングスタッフも部活動にまで手が回らない状態が続いているため、指導者や寮監の確保も急務だ。

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