「黄金期」を築いたドゥンガが語る、ジュビロ磐田がJ2に降格したわけ 再び躍進するために必要なこととは? (2ページ目)
あの頃は、チームの選手やスタッフはもちろん、シャチョー(社長)も、サポーターも、街の人も、みんながひとつになって勝つんだ、優勝するんだ、という目的に向かっていた。だから、当時の思い出が今も心に刻まれている。
みんながひとつの目標に向かっていくというのは、やっぱり力を出すには大事なことで、どこかひとつのところだけが頑張っても優勝はできない。だから、みんなが本当にひとつになっていたあの頃はすごくよかった。みんながサポートしてくれるから、選手はプレーをすることだけを考えればよかったんだ」
――そんな磐田がJ2に降格したと聞いた時は、どんな気持ちでしたか。
「とにかく信じられなかった。ジュビロが持つ施設を含めたクラブとしての基盤もそうだし、ジュビロで仕事をしている人たちのことを考えても、あれだけのものがそろっていて2部に落ちるなんて信じられなかったね」
――昨年はブラジルでも、名門クラブのサントスが2部リーグに降格するというショッキングな出来事がありました。どんなに栄華を誇ったクラブでも、その強さを維持するのは簡単ではないということでしょうか。
「簡単ではないね。なぜなら、それらのクラブは、決してひとつの大きなミスによって2部に落ちるわけではないからだ。彼らは、あまり気づかないほどの小さなミスを毎日繰り返し、それがどれだけ大事なことを引き起こすかがわかっていない。でも、その小さなミスの積み重ねで、最後は2部に落ちてしまうことになるから厄介なんだ。
加えて言えば、トップにいたクラブが落ちていく時には、その前に"警告の数年"が必ずあって、ジュビロの場合もそうだし、サントスもそうだったけれど、何年か中位にいる時に、『これではいけない』と気づかなければいけなかったんだ(磐田の2007年~2012年のJ1での順位は、9位、16位、11位、11位、8位、12位)。
たとえば、20クラブ(のリーグ)であれば10位くらいのところに何年かいたら、その間に上位に戻ろうとしなければいけない。そこに注意を払えないと、重なったミスはどんどん大きくなり、気がついた時には(2部に)落ちている。雪だるまみたいにね」
――"警告"を受けている間に、目を覚ませるかどうかが重要なのですね。
「最初に中位になった時には、『まあ、今年はよくなかったけど、来年は巻き返そう』と思う。でも、それが続くと『ああ、今年も落ちなかったな』と、その状況に慣れてしまい、気がつけば"落ちないために戦うチーム"になってしまうものなんだ」
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