大宮アルディージャ、J3降格の危機 営業利益3位タイなのに選手人件費年々減少はなぜ? (2ページ目)
【大宮は相手を威圧できる存在ではなくなった】
勝ちきれない体質は、大宮に向けられる視線を変えることにもなった。2016年から横浜FCでプレーし、2020年途中から2021年終了まで大宮に在籍したFWイバが、移籍加入直後の2020年秋に対戦相手の心理的な変化に触れている。
「私が横浜FCの選手として対戦してきた大宮は、恐れを抱かせるチームでした。とてもタフでいいチームでしたが、今は何かが違うと感じます。率直な思いを明かせば、まるでスモールクラブのようで、対戦相手は我々を恐れていないと感じるのです」
近年のJ2は、J1に在籍したことのあるクラブがほぼ半分を占めている。J1で実績を積んだ選手を揃えるクラブも多い。元日本代表選手やJ1で結果を残した外国人選手を抱えるクラブもある。初のJ1昇格へ近づくFC町田ゼルビアは、現役オーストラリア代表FWミッチェル・デュークを支配下に置いている。
ひるがえって、大宮はどうなのか。
J1で実績を築いてきたと言える日本人選手は、控えGKの南雄太に限られる。得点ランキング上位に食い込むような外国籍選手も見当たらない。2019年のFWフアンマ・デルガド(現V・ファーレン長崎)を最後に、リーグ戦でふたケタ得点を記録した選手も現れていない。
J2残留争いを演じるようになった大宮は、対戦相手を威圧できる存在ではないのだ。2021年6月からおよそ1年間チームを率いた霜田正浩監督(現・松本山雅FC監督)は、2021年オフにこう話している。
「J2のなかでどこがビッグクラブかと言うと、半分ぐらいがビッグクラブのようなものです。2021年のJ2では、J1で戦ったことのある松本山雅FCが最下位でJ3に降格していますし。クラブの格、名前、経験といったものは、あまり関係ないと思います」
2017年に36億円強を記録した営業収益は、2022年に26億円強まで減っている。それでもJ2では3位タイの数字だが、選手人件費は縮小されている。2018年のおよそ19億円をピークに減少し、2022年はおよそ5.8億円だった。全22チーム中11番目である。チーム人件費においても、J2で抜きん出ているわけではないのだ。
2 / 4