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「ひとつやり残したことと言えば...」ポジティブ思考の槙野智章が現役生活で叶えられなかったこと (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ただ楽しかった、というのじゃなくて、大きな刺激をもらったし、引退したばかりの僕だからこそ、やらなければいけないことがあると思いました。ただ解説するだけじゃなくて、どのように伝えるかも重要だと思ったし、サッカーというコンテンツをよりリアルに、より頻度高く発信していくことが大事だとも感じました。

 選手あがりだからこそ、わかることが僕にはある。使命感にかられたわけじゃないですけど、サッカーを伝えるという仕事をしっかりとやらなければいけないと思っています」

── 特にJリーグの魅力をどう発信していくかが、大きなテーマになりそうですね。

「ワールドカップは睡眠時間を削ってまで、みんな見たじゃないですか。でも、ほかの用事を削ってまでJリーグを見に行こうという人がどれだけいるか、ということです。ワールドカップの日常を、次はJリーグにも落とし込まないといけない。

 もちろん簡単ではないですけど、にわかと呼ばれる人たちは、メディアの力でワールドカップにのめり込んだ。それはふだんのニュースだったり、ワイドショーで扱われたからこそ。Jリーグもメディアの発信力を使って、いろんな人を巻き込めるはずです。

 だから僕も、サッカーとは関係のない番組に多く出たいと思っています。それをメディア側に求められる人ってそんなに多くいるわけではないと思いますが、そのなかで自分を選んでいただけるのなら、自分の言葉で伝える役割はあるんじゃないかなと思っています」

── サッカーの魅力を伝える役割がある一方で、指導者の道も志していますよね。その視点で、今回のワールドカップを現地で見たことで、感じた部分はありますか。

「よくみんなが言っているのは、『チーム戦術の前に、個の能力を上げなければいけない』ということ。僕自身も試合を解説するなかでそう思いましたし、現地でいろんな国の練習を見に行った時にも感じたことでした。

 決勝戦を戦ったフランス、アルゼンチンもそうですが、戦術の浸透度はもちろん高かった。だけど、結局は個人能力でぶち破れる選手がいたから、あそこまで勝ち上がれたんだと思います。

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