バイエルンからサガン鳥栖へすぐに移籍のオファー。福井太智の才能を証言で解剖する

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

Sportiva注目若手アスリート「2023年の顏」
第2回:福井太智(サッカー)

 2023年にさらなる飛躍が期待される若手アスリートたち。どんなプレーで魅了してくれるのか。スポルティーバが注目する選手として紹介する。

<世界のバイエルン・ミュンヘンが白羽の矢を立てた>

 それだけで大いに価値はある。

 サガン鳥栖で育ってトップデビューを飾った福井太智は、バイエルンの誘いを受け、参加したトライアルで見事に移籍を勝ち取っている。たった2日で、正式オファーがクラブに届いたという。実際にプレーするのはバイエルンのセカンドチームだが、世界の精鋭だけが集まる登竜門だ。

 バイエルンのトップは10人以上が下部組織出身者である。たとえ昇格できなくても、多くがブンデスリーガをはじめ欧州各国のトップリーグへの移籍が決まっている。言わば、エリート集団だ。

 そんな18歳、福井の才能を"解剖"した。

 福井はパリ五輪も照準にあるU―19代表のひとりである。カタールW杯のサポートメンバー10人にも選ばれていたが、欧州遠征でチーム内から新型コロナ感染者が出たため、帰国を余儀なくされることになった。しかし急遽、出場した高円宮杯U-18プレミアリーグ決勝戦で、U―18川崎フロンターレを相手に1得点を決め、3-2という勝利を呼び込み、日本一に輝いた。

サガン鳥栖からバイエルン・ミュンヘンへ移籍する福井太智サガン鳥栖からバイエルン・ミュンヘンへ移籍する福井太智この記事に関連する写真を見る キックの精度は卓抜。プレーメーカーとして長短のパスを織り交ぜ、チャンスを作る能力に長ける。サイドチェンジ一本で観る者を唸らせ、プレービジョンも魅力だ。

「香川真司の再来」

 そんな記事も出たが、適性ポジションはもうひとつ下か。ただ、アンカーのようにさばくだけでなく、インサイドハーフのようにゴールに向かってプレーするタイプだろう。

「太智の武器はやっぱりキック。止まったボールも、動いたボールも蹴れるし、コントロールはほとんど乱れません。ビジョンもあり、"そっちに出すか!?"という意外性もあって。プレーメーカーですが、ゴールに向かう選択肢を持っています」

 鳥栖の小林祐三スポーツダイレクターは言う。鳥栖に残して成長を促す選択肢もあったが、オファーを受け入れた。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る