広島スキッベ監督の冴えわたる手腕。既存選手の能力を最大限に引き出して勝つ、理想的な地方クラブ像 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

2015年以来のタイトル奪取へ

 首位を走る横浜F・マリノスと比べれば選手層が心許なく、ここ2週間はルヴァンカップも含めた5連戦をほぼ同じスタメンで戦わざるを得なかった。それでもFC東京には敗れたとはいえ、リーグ戦では鹿島、柏と上位陣を連破し、ルヴァンカップでは横浜FMに連勝し、ベスト4進出を決めた。

「この連戦を乗りきって、チームはもっと強くなると思う」

 殊勲の藤井が話したように、酷暑下でのハードな連戦で4勝1敗と勢いを加速できたことは、何よりの自信となったはずだ。

 たしかなスタイルを植えつけ、若手の成長を促しながら、しかも結果も手に入れる。チーム強化の理想的な形が、今の広島にはある。

 これで5位に浮上した広島は、消化試合数がひとつ少ない首位の横浜FMに7ポイント差に迫った。残り9試合であることを考えれば逆転優勝の芽は薄いとはいえ、ルヴァンカップではベスト4、天皇杯ではベスト8と、ふたつのカップ戦ではともに勝ち残っている。

 2015年のリーグ優勝を最後に下降線を描いていた広島から、久しぶりに感じさせる希望的な未来。タイトル奪取への機運は、着実に高まっている。

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