ロジェ・ミラ+オルンガ? J1の台風の目、京都サンガの切り込み隊長は得点ランク首位の38歳
J1リーグでいま最も目を引くチームは京都サンガではないだろうか。元気みなぎるサッカー、高い位置からプレスをかける勇ましいサッカーで、今季の昇格チームながら現在5位と奮闘している。前節は、同じように開幕から好調を維持していた柏レイソルに2-0と完勝。ダークホースに名乗りを挙げた格好だ。
昇格チームが高い位置からプレスをかける攻撃的なサッカーで成功した例として想起するのが、2002-03シーズンのセリエAで5位という成績を収めたキエーボ・ベローナだ。チームを率いていたルイジ・デルネーリ監督に当時、話を聞けばこう答えたものだ。
「セリエBで戦っていた選手にとって、セリエAは憧れの舞台であるが、同時に、自分のプレーが通用するだろうかと不安を抱えているものだ。そうした後ろ向きになりがちな精神を少しでも前方向に持っていこうとした時、後ろで守るサッカーは適さない。不安を解消させるためには、自ら打って出るプレッシングこそが最適な戦術になる」
京都サンガのJ1復帰は12シーズンぶりだ。選手とクラブは別物とはいえ、3シーズンぶりに復帰したジュビロ磐田より、不安要素ははるかに多かったはずだ。それがいま全く表面化していない状態にある。なぜだろうかとその理由を考えた時、状況が重なる当時のキエーボの監督の言葉が脳裏に蘇ったというわけだ。
その、ボールを一気呵成に奪いにいくサッカーには、荒々しささえ覚えるほどだが、それは先頭を牽引する、切り込み隊長役を務める選手と深い関係にある。
今季ここまで7得点で得点ランキング首位のピーター・ウタカ(京都サンガ)この記事に関連する写真を見る ピーター・ウタカがJリーグにやってきたのは2015年。最初に所属したチームは清水エスパルスだった。当時すでに30歳を超えていた。元ナイジェリア代表選手の肩書きが目に止まったが、峠を過ぎた選手なのかと思っていた。
その昔、1990年イタリアW杯を沸かせたロジェ・ミラを想起させる。40歳の選手が4ゴールを挙げるなど、実年齢を怪しみたくなる活躍をしたカメルーン代表のストライカーの姿が、現在38歳のウタカと重なって見えるのだ。
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