今季Jリーグの優勝争いと見どころ。福田正博「ACL組は開幕から7試合が今季の行方を占うものになる」 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Fujita Masato

【期待感が高い神戸と浦和のACL組】

 この川崎に加え、横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸、浦和レッズがAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を戦う。4チームに共通して言えるのが、開幕から3月中旬までの7試合が今季の行方を占うものになる可能性が高いということ。

 なぜならACLのグループリーグが4月15日から5月1日までセントラル開催で行なわれるため、Jリーグの開幕直後から強豪同士の直接対決が数多く組まれているからだ。ここで勝ち点3を積み上げていければ、ACLへの弾みにもなるが、逆に負けが込めばACLはもちろん、リーグ戦でも苦しくなる。

 そのACL組では、神戸と浦和には補強を含めて期待感が高い。

 神戸は今季もアンドレス・イニエスタ中心なのは間違いないが、昨夏の大迫勇也、武藤嘉紀、ボージャン・クルキッチの補強に続いて、今季も扇原貴宏(前横浜FM)、汰木康也、槙野智章(以上前浦和)を加えた。

 2年目を迎えてフィジカルコンディションの高まる大迫と武藤、ボージャンへの期待はさらに膨らむし、セレッソ大阪時代に山口蛍とコンビを組んでいた扇原は、中盤ですぐに攻守両面で躍動すると予想している。

 センターバックはトーマス・フェルマーレンが抜けたのは痛いが、昨季はフェルマーレンとコンビを組んだ菊池流帆がいて、21歳の小林友希や経験のある大﨑玲央もいる。彼らがレベルアップしながら、今年で35歳になる槙野も使えるようになると、シーズンを通じて安定感のある守備が構築できるのではないかと思う。

 浦和は昨季就任したリカルド・ロドリゲス監督のもとで、選手を大きく入れ替えながら新しいチームスタイルの基盤をつくった。今年はそれにどれだけ上積みできるかという楽しみがある。

 補強のところでは監督が徳島ヴォルティス時代に信頼した岩尾憲を獲得し、横浜FCから松尾佑介、鹿島アントラーズから犬飼智也、サガン鳥栖から大畑歩夢を加えたが、J2からも5選手を獲得した。昨季もJ2から獲得した選手たちが躍動したことを考えれば、彼らがチームの主力にのしあがっても不思議はない。

 不安があるとすれば、FWの選手層の薄さになる。キャスパー・ユンカーが残留したが、興梠慎三を札幌へ、杉本健勇をジュビロ磐田へ出したが、控えFWがいないのが気がかりではある。ただ、昨季も江坂任を偽9番のように使ったりしているので、リカルド監督が柔軟な思考でどういう布陣にするのかは興味がある。

 横浜F・マリノスは上述3チームに比べると、期待だけではなく不安要素もある。ひとつはDFの大黒柱だったチアゴ・マルチンス(ニューヨーク・シティFC)の移籍だ。その補強にサガン鳥栖からエドゥアルドを獲得したが、連携面を含めてどうなるのか。

 昨年までの横浜FMは、シーズン途中に早め早めの補強が奏功してリーグタイトル争いに加わってきた。しかし、それを遂行したフロントの面々が代わっていると聞く。これがどう影響するのか。昨年までのようなフロント力が発揮できるのか見てみたい。

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