清水エスパルスがJ1残留争いを演じたのはなぜか。残り4節で示した来季への可能性と権田修一が最終節に語ったことは? (3ページ目)

  • 望月文夫●取材・文 text by Mochizuki Fumio
  • photo by Fujita Masato

 プロは結果がすべてだ。攻守両面で徐々に改善されつつも思うような結果が出ないまま、クラブがロティーナ監督を解任したのは、今季初の3連敗となった11月3日第34節FC東京戦後のことだった。0-4で大敗したことに加え、直近3試合連続で無得点となり、大熊清GMは「新たな変化と熱を入れたい」と、昨年も結果が出せなかったピーター・クラモフスキー監督(現J2山形監督)に代わって指揮を執った、クラブOBの平岡宏章監督が2年連続で新指揮官に就任した。

「アグレッシブさと躍動感という部分で、ロティーナ監督は慎重すぎたのではないか。残りは4試合しかないが、ここから勝利を引き寄せたい」と交代理由を説明した大熊GMに、平岡監督も「選手には犠牲心と一体感を求めたい。きれいなサッカーだけでは難しいと思うので、泥臭くてもいいから勝ち点3がとれるようなプレーを選手に期待したい」と残留への勝ち点の積み上げを強く誓った。

 そしてロティーナ監督の下で培ってきた緻密さをベースにしながらも、「より大胆にシンプルにゴールへ向かうことがあってもいいと思う」と、これまで以上にアグレッシブに闘う姿勢を選手に求めた。

 残り4試合で引き継いだ新指揮官の下、就任から中2日で臨んだ初戦の北海道コンサドーレ札幌戦こそ引き分けで勝ち点1の上乗せにとどまったが、そこから3戦全勝。2018年以来の3連勝で見事に残留へと導いた。平岡監督の持ち合わせた熱い思いが、選手たちにしっかりと伝授された瞬間だった。
 
 例年終盤まで苦しんできた清水に、いったい何が足りなかったのか、そして必要なものは何なのか。平岡監督が崖っぷちで導いた、4試合連続負けなしでの残留達成が示したものは何なのか。

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