2021.12.04

OBの岩政大樹が鹿島アントラーズに抱いている危機感。「アップデートできているのかが問われている」

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • photo by J.LEAGUE

――鹿島らしさというと、「勝利へのこだわり」と言われますね。

「そのこだわりの強さは今もクラブに根づいていると感じます。今季、川崎フロンターレが優勝したことを悔しがっている空気というのは、他クラブにはないものがあった。選手だけでなく、フロントやスタッフ、街の人たちも含めて持ち続けている。でも、勝ってきたからこそ、変わるタイミングが遅れてしまったとも言えると思います」

――リーグタイトルは手にした2009年以降、勝ち点上でリーグを制覇したことはありません。だからこそ、三連覇のチームを基準として考えてしまいがちです。

「三連覇したとき、僕たちがやっていたのは、バリエーションのあるサッカーでした。冷静にボールを繋ぐこともあったし、カウンター攻撃を選択することもありました。守備にしても高い位置からのハイプレスもあれば、中盤でブロックを作ることも、引いて守ることもある。どれを選んだとしても勝ち筋を見つけられる。それが僕たちのサッカーでした。ポゼッションサッカーが鹿島らしさではないし、カウンターサッカーも鹿島らしさではないはず。鹿島らしさとはバリエーションサッカーだったと思うんです」

――柔軟で臨機応変に戦うのは、確かに鹿島らしさですよね。

「三連覇の時代は、選手たちがすり合わせてそれができたけれど、そのバリエーションをひとつひとつ、監督が決めていくのが現代サッカーだと思います。世界のどのチームでも選手の入れ替わりが激しいから、そうしていくことが当然になったのです。

 また、今の川崎や横浜F・マリノスには豊富なバリエーションがあり、いろんな勝ち方を持っています。それは技術の場合もあるし、戦術であったりします。戦い方にバリエーションがないとリーグ戦を勝っていくのは難しいと思います。

 ヨーロッパを見ても圧倒的な勝ち点でリーグ優勝するチームが多いでしょう? 年間2敗とか3敗しかしていない。それはどんな相手であっても勝てる要素、バリエーションを持っているからだと思います。ひとつの戦術を徹底してもリーグは勝てないんです。そう考えると、今の鹿島にはバリエーションを感じづらい。そこに違和感があるんです」

――その違和感というのは。

「たとえば、4-4-2というシステムもそうです。本来4-4-2というのは勝つための手段でしかなかったはずなのに、それが目的になってしまったら、間違えてしまう。というのも、4-4-2は立ち位置がポゼッションには向いていないんです。この形のままだと守ってカウンターという形になってしまうから。選手がそれぞれの個性を組み合わせていく時代だったら、4-4-2でも可変することは可能でしたが、今はチームを作りこまなくてはいけない時代なので、システムをずらしておかないといけない。

 そういうシステム論に始まり、現代サッカーの流れや本質的なものを見極めて議論しなくちゃいけない。Jリーグでもどんどん世界の情報を輸入して、改革しているチームが増えてきているなかで、鹿島はアップデートできているのかが問われていると思うんです」