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OBの岩政大樹が鹿島アントラーズに抱いている危機感。「アップデートできているのかが問われている」 (3ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • photo by J.LEAGUE

――勝ってきたことで変わるタイミングを得られなかったというようにおっしゃっていましたが......。

「まっさらなチームなら、まずはやってみようということで、変われたと思うんです。川崎の風間八宏さんやサンフレッチェ広島のミハイロ・ペトロヴィッチさんなどのように。そこから鬼木達さんや森保一さんへとつながっていくわけですが。鹿島の場合は成功した歴史があるので、これをしっかり言葉にして、焼き直すという意味での難しさがあると思います。

 焼き直すときに問題になるのは、過去を焼き直してしまうということ。成功体験があるだけに、鹿島らしさを継承しながら、アップデートしていくのは容易じゃないでしょう。たとえば、10年前のサッカー、三連覇したときの僕らのサッカーも今では時代遅れなんですよ。そういうことを踏まえて、議論をしていく必要があると感じます」

―― 一方で選手も10年前と比べて、自分たちで考えて、判断し、行動できる選手が少なくなっているのでしょうか? デザインされたサッカーに慣れているというか、それがないとプレーができないというか。

「少なからずそういうこともあると思います。でもそれは社会全体に言えることです。僕が育った時代はインターネットも普及していない時代でした。でも、今の選手、子どもたちはインターネットが当たり前の時代に育っている。それはどういうことかと言えば、情報はスマートフォンを開けばすぐに手に入り、答えを得られるんです。だから、自分で考えてなければならないという局面は、僕らの時代よりも少なくなった。

 サッカーにおいても、『まず情報をください』という姿勢になっていると感じます。でもそれを嘆いていても仕方がない。じゃあどうしますか? というのが現代サッカーなんです、特にプロの世界は。育成年代なら、失敗を経験させながら、『自分たちで考えなさい』ということができますが、結果が求められるプロでは、監督やクラブがそういう選手たちに適応していかなくちゃいけない。選手にどこまで提示し、どこからは自由に躍動させるのかをマネージメントしなくちゃいけない時代だと思います」

――そう考えると、世界最先端のサッカーや戦術に触れる機会も増え、豊富な知識量を持った選手も増えたということですね。

「現代サッカー、新しいサッカーにアップデートしないと、選手自身が刺激を得られないと感じることもあると思うんです。今まで、鹿島には良い選手が加入してきたのも、『鹿島なら成長できる刺激がある』と思ってもらえたから。でも、今のままだと、選手が離れてしまう可能性だってあると思います。優勝クラブかどうかということだけでなく、どういうサッカーをしているのか、子どもたちも厳しい眼で見ている。彼ら自身が世界のサッカーに気軽に触れられる時代だということも忘れちゃいけないと思います」

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