どうした大宮アルディージャ。J1昇格候補がまさかのJ3降格危機に直面 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 霜田監督就任直後の3試合は、下位の(それでも大宮よりは上位だが)栃木SC、松本山雅FC、レノファ山口FCを相手に1勝2分けと巻き返しの兆しを見せたものの、続く今節では、それまで7戦負けなし(6勝1分け)の3連勝で勢いに乗る山形に、力の差を見せつけられる格好となった。

「全体的にいいパフォーマンスだった。ゲームをコントロールできた」

 試合後、山形のピーター・クラモフスキー監督が口にしたそんな言葉が、試合内容を端的に表している。

 この試合、両チームはともに2ボランチの4-3-3を採用し、自らボールを保持して試合を進め、失ったボールを高い位置から奪い返しにいくという点で、志向するサッカーは共通していた。実際、霜田監督も「山形とは目指すフットボールが似ている」と話している。

 だが、指揮官が「山形が少し先へいっている」とも話したように、狙いとするサッカーがうまく機能していた山形に対し、大宮は空回りしている印象が強かった。

 大宮にしても、おとなしく何もしなかったわけではない。むしろやる気に満ちていたと言ってもいい。

 だが、ボールを大事につなごうとするあまり、逆に危ない場所でボールを失い、ショートカウンターを受けてしまう。あるいは、プレー強度を高く保ってボールを奪い返そうとするあまり、余計なファールが増える。

 特に前半はファールが目立った。出遅れているのに、強く奪いにいこうとするから、いわゆる"アフター"のファールが多くなる。前半だけで8つも与えてしまった直接FKのひとつを、直接叩き込まれて同点に追いつかれているのだからもったいない。

「(選手の)モチベーションは高い」

 霜田監督はそう評する一方で、「失点すると下を向いてしまう。ひっくり返されると、同点に追いつきたい気持ちが急いてプレーが雑になる」と嘆く。

 これが大宮で4試合目の指揮官は、試合中もベンチ前に立ち、ピッチ上でミスが起こるたびに頭を抱え、それでもすぐに「悪くないぞ。このまま続けよう」とでも言いたげに、大きく拍手し、選手たちを鼓舞する姿を何度も見せていた。

 できることなら、低い位置からでもマイボールを大事につないで攻撃を組み立てたい。相手がハイプレスにきたからといって、すぐにロングボールで逃げていたのでは進歩がない。「そういうことから逃げると勝ち点を取れないし、得点も取れない」(霜田監督)からだ。

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