日本代表の正GK争い戦国時代。エスパルス権田修一は経験値で勝負だ

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 2年連続でリーグ最多失点。これが、清水エスパルスの実情だ。

 昨季は、前年まで横浜F・マリノスでコーチを務めていたピーター・クラモフスキー監督を招聘し、攻撃型へと舵を切ったものの、目立ったのは失点ばかり。開幕から低空飛行を続け、監督交代後にわずかに巻き返し16位でシーズンを終えたが、通常のレギュレーションであれば、2度目の降格もやむなしいう成績だった。

今季から清水の守護神を務める権田修一今季から清水の守護神を務める権田修一 そんなチームを建て直すべく、今季はミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が就任した。

 スペイン出身の名将は、東京ヴェルディを昇格争いに導き、セレッソ大阪を勝てるチームへと仕立て上げた。とりわけ守備組織の構築には高い手腕を発揮する指揮官だけに、失点減を目指す清水にはうってつけの人材と言えた。

 開幕戦で鹿島アントラーズに逆転勝利を収めたものの、その後は4試合勝利なし。細かい約束事を求められるだけに、組織構築には相応の時間が必要なのだろう。それでも、試合を重ねるごとに守備の改善が見られ、第4節のサガン鳥栖戦では初のクリーンシートを達成。第5節のサンフレッチェ広島戦では敗れたものの、セットプレーからの失点ひとつに抑えている。

 アウェーに乗り込んだ第6節の柏レイソル戦でも、守備の安定感が光った。早い段階で2点のリード奪ったこともあり、構えて対応し、スペースと隙を与えない。際立ったのは、ポジショニングのよさだ。

 後半、リスクを負って前に出てきた柏の攻勢にさらされ1点を失ったものの、集中力の高い守備は破綻することなく、2−1で逃げ切り、開幕戦以来となる勝利を手にした。

「全体的に仕事量の多いゲームだったが、チーム全員のすばらしいハードワークによって、難しいアウェーゲームで勝ち点3を取ることができた」

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