危機感がないチームほどパニックに。J1降格候補のチームはどこだ? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFLO

 J2から昇格してきたチームが、いきなり上位に進出したりする(昨季で言うならば柏=7位)。前年12位だったチームが優勝したり(2019年の横浜FM)、翌シーズンは一転、9位に沈んだり(2020年の横浜FM)。年間予算ナンバー1のクラブ(神戸)が降格圏に迫る14位に終わったりするなど、ドタバタした事件が、何かと多く発生する。

 心配になるチームが多すぎるのだ。Aクラスに挙げた7チームにしても油断はできないが、さすがに降格圏(17位以下)に沈むことはないと見る。一般的に考えて、危うい存在に見えるのは今季、昇格してきた2チーム(徳島、福岡)と、昨季、降格とJ1参入プレーオフがあれば事実上の降格圏に沈んだ3チーム(湘南、仙台、清水)の計5チームだ。

 ただ、降格4チームがこの「5弱」の中からすべて誕生するかと言えばノーだろう。Jリーグの特徴を踏まえれば、2チーム程度ではないだろうか。この5チームには、最初から弱者として相当な覚悟があるはずだ。心構えができているので、もし降格圏をさまようことになっても、思いのほか慌てることはないと見る。

 中でも危機感を募らせていることが、手に取るように伝わってくるのが清水だ。C大阪を過去2シーズン、上位に導いたミゲル・アンヘル・ロティーナ監督を招聘。選手も大量に獲得した。ロティーナは、昨季、新監督に招聘したピーター・クラモフスキーと哲学的に開きのある監督。クラブの定見のなさについては、思わず突っ込みたくなるが、付け焼き刃にせよ、昨季最多だった失点数を減らせば、順位はその分だけ上がるはずだ。手倉森誠監督を招いた仙台にも、似たようなことは言える。上がり目はあると見る。

「5弱」以外で心配になるのは横浜FCだ。サッカーそのものはよかった。好感の持てる前向きなサッカーをしていたが、シーズン後半になるに従い、息切れするように成績を下げていった。こう言ってはなんだが、今季はカズこと三浦知良をピッチに長く送り込む余裕はないはずだ。

 2018年に4位という自己最高位をマークした札幌も心配だ。2019年10位、2020年12位と、じりじりと順位を下げている。昨季も鈴木武蔵を放出した影響か、シーズン中盤以降、振るわなくなった。ここまでいい流れが作れていない。

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