ルヴァンカップ決勝は隠れた名勝負の宝庫。ベストゲームと言えば...

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 28回目を迎える今回のルヴァンカップ決勝は、柏レイソルとFC東京の顔合わせとなった。

 柏で新型コロナウイルスの感染が広がるという、いわゆるクラスターが発生した影響で、2020年11月7日に開催予定だった決勝が、およそ2カ月延期されることにはなったが、とにもかくにも歴史あるタイトルマッチのひとつが開催されるに至ったことを、まずは喜ぶべきだろう。

 今季J1は、川崎フロンターレが圧倒的な強さで独走優勝。柏もFC東京も天皇杯出場となる2位以内を確保することもできなかっただけに、ラスト一冠獲得にかける意気込みは強いだろう。

 これまでのルヴァンカップ決勝を振り返っても、ふたつの強い思いが真っ向からぶつかるとあって、拮抗した試合になることがほとんどだ。過去27回の決勝で、勝負が延長戦までもつれ込まれたのは10試合、うちPK戦決着が7試合もある。タイトルへの執念が引き起こした結果だろう。記憶に残る名勝負は数多い。

 遡ること28年。第1回大会決勝も、長い歴史の幕開けにふさわしい白熱の一戦だった。

 翌年にスタートするリーグ戦に先駆け、いわばプレ大会として1992年に行なわれた第1回ナビスコカップ(当時。2016年の第24回大会途中から現名称)。その決勝で対戦したのは、ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)と清水エスパルスである。

 日本に初めて誕生したプロサッカーリーグへの期待とともに、5万6000人もの大観衆が詰めかけた東京・国立競技場。当代随一のスター選手だったカズこと、三浦知良が決めた決勝ゴール。V川崎が1-0で勝利したJリーグ最初のタイトルマッチは、"開幕前夜"にふさわしい名勝負だった。

 試合終了間際の同点劇というドラマチックな展開で記憶に残るのは、今年も決勝の舞台に立つ柏が初優勝を遂げた、1999年の第7回大会決勝である。

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