Ⅴ・ファーレン長崎の逆転昇格はあるか。不利な立場も追う者の強みはある (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 そして、残り4節となった第38節終了時点では、首位・徳島との勝ち点差は10、2位の福岡とも4まで開き、J1昇格は厳しくなったかに思われた。

 ところが、第39、40節と長崎が勝利を重ねる一方で、徳島は1敗1分け、福岡は1勝1分け。特に徳島は、他の2クラブの結果に関係なく、あと1勝すれば自力でJ1昇格が決まる状況にありながら、2試合連続での足踏みとなっている。

 その結果、3クラブの順位こそ変化はないものの、勝ち点81の徳島、同78の福岡、同76の長崎と、首位から3位までの勝ち点差は、わずか5までに縮まった。長崎にとっては、一時は遠のいたJ1昇格が、再び手の届きそうなところまで近づいている。

 長いJ2リーグも残り2節となった現在、土壇場の勝負に不可欠な勢いや流れといった要素が、長崎を後押ししていることは間違いないだろう。

 東京V戦を見ても、値千金の先制ゴールを決めたのは、ベテランCB のDF角田誠。以前、手倉森監督が「(勝負では)最後はメンタルが必要。それを全面に出せるかが大事だが、角田は声も出せるし、気持ちも出せる。それがみんなに伝染してくれればいい」と話していたことがあるが、そんな闘争心あふれる37歳がCKを頭で叩き込み、今季初ゴールを決めたとなれば、チームが勢いづかないはずはない。

 角田は「足の筋肉系に問題があり、トレーナーやコーチングスタッフが助けてくれた」と語り、フル出場が難しいコンディションにあったことを認めながらも、「チームのためになんとかしたいという気持ちだった」と、途中交代する73分まで出場。「自分のゴールよりも、チームが勝ててよかった」と、貴重な勝ち点3の獲得を喜んだ。

 そんな角田の言葉からは、チーム全員がJ1昇格をあきらめず、一丸となっている様子が見て取れる。

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