Ⅴ・ファーレン長崎の逆転昇格はあるか。不利な立場も追う者の強みはある

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 V・ファーレン長崎が逆転昇格へ向け、ラストスパートを加速させている。

 J2第40節、東京ヴェルディと対戦した長崎は、「しっかりとコレクティブに連動していた」(長崎・手倉森誠監督)という堅い守備で、相手の攻撃に対応。ボールを保持して攻撃を組み立てたい東京Vに対し、決定的なシュートを許さなかったばかりか、テンポよくパスをつなぐ攻撃で、両サイドから何度も敵陣深くへと進入を繰り返した。

40節の東京ヴェルディ戦で先制ゴールを決めたベテランの角田誠(写真中央)40節の東京ヴェルディ戦で先制ゴールを決めたベテランの角田誠(写真中央)「昇格をかけた戦いで、もうひとつの敵はプレッシャー。(昇格の可能性がなくなって)ノープレッシャーのチームにのびのびやられると厄介だった」

 手倉森監督がそう警戒して臨んだ試合も、終わってみれば2−0。前半なかばのわずか5分間で2点を取れたことは、いくらかのツキがあったとはいえ、概(おおむ)ね主導権を握って進めたゲームは完勝と言っていい内容だった。

 指揮官も満足そうに語る。

「セットプレーで先制し、2点目もトントンと取れた。(試合終盤に)ピンチもあり、相手の慌てたシュートに助けられた部分はあるが、うちなりにしのげたゲームだった。辛抱強く戦う覚悟が残り2試合に必要だと、(試合後に)選手に話してきた」

 3シーズンぶりとなるJ1復帰を目指す長崎は今季、開幕4連勝を含む9戦無敗(7勝2分け)のスタートダッシュで首位に立ったものの、第16節から8試合連続で勝利から遠ざかり(5分け3敗)、J1昇格圏から転落。以降は長らく3位をキープするものの、なかなか徳島ヴォルティス、アビスパ福岡の上位2クラブを捕まえられずにいた。

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