2020.11.20

香川真司以来のインパクト。
川崎のルーキー三笘薫をぜひ日本代表へ

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 長年サッカーを見ていれば、おそらくこうなるだろうなと、次に起きるであろう事象をある程度予測することができる。そしてその予想を裏切るようなプレーを見せられた時こそ、代えがたい高揚感を得られるものだ。

 11月18日に等々力競技場で行なわれた川崎フロンターレと横浜F・マリノスの一戦。川崎のゴールデンルーキー三笘薫が見せたプレーは、まさにその類(たぐい)のものだった。

新人ながら今季12ゴールを決めている三笘薫 2−1で迎えた後半アディショナルタイム、自陣エリア手前でボールを拾った三笘は、「クリアもできた」という思考を一瞬でひるがえし、「うまくトラップできて前にスペースがあったので」と、ドリブルで持ち上がることを選択した。

 なかば強引に思えたが、揺るぎない自信があるのだろう。追いすがる渡辺皓太を一瞬のスピードで置き去りにすると、寄せてきたチアゴ・マルチンスの股を抜き、バイタルエリアに侵入。最後はもうひとりのDFを引きつけて、華麗なアウトサイドバスで小林悠のダメ押しゴールを演出した。

 ボックス・トゥ・ボックス型のプレーヤーでさえなかなか稀有な存在だが、なんとボックスとボックスの間をドリブルで持ち上がるとは! まさにこちらの想像をはるかに凌駕するビッグプレーだった。

 首位を独走する川崎と前年王者・横浜FMの一戦は、攻撃スタイルを打ち出すチーム同士のハイレベルな戦いだった。お互いに高いスキルをベースとしたボール支配に定評があるが、強烈なプレスと素早いトランジションを絶え間なく繰り返し、一部の隙も存在しないスリリングな時間帯が続いた。

 ボールを思うように運べないなかで、際立ったのは個の力である。とりわけ前半終了間際に数的不利に陥りながらも最後まで互角の戦いを演じた横浜FMにおいて、マルコス・ジュニオール、ジュニオール・サントス、エリキのブラジル人トリオの技量は高次元にあり、インテンシティの高い攻防のなかでもボールを失わず、相手ゴールに迫る姿は圧巻だった。