2020.09.07

やられたらやり返す。
川崎の王者攻略の狙いはどこにあったのか

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

◆「日本サッカー天才ランキング」はこちら>>>

 どうした、横浜F・マリノス?

 開幕から調子が上がらない前年J1王者に、そんな想いを抱いていた方も多かったはずだ。

マリノス相手に2ゴールを決めた三苫薫 ところが、第11節の清水エスパルス戦の勝利を皮切りに3連勝を達成。第14節のヴィッセル神戸戦では終盤に2点を奪われて引き分けに持ち込まれたものの、直近4試合で3勝1分と息を吹き返していた。

 この間、4試合で計14得点。持ち前の攻撃力が蘇ってきており、ようやくエンジンがかかってきた印象である。

 一方の川崎フロンターレの強さは、もはや語る必要もないだろう。14試合を戦って11勝2分1敗。うち8試合で3ゴール以上を奪っている。ここまで41得点を記録する攻撃力は、衝撃的と言っていいほどだ。

 9月5日に日産スタジアムで行なわれた"神奈川ダービー"は、調子を上げてきた王者が首位を独走する最強チームに挑む構図となった。ともに売りは「攻撃力」。多くのゴールが生まれるド派手な打ち合いが期待された。

 開始2分に得点シーンが訪れた時点で、その予感は現実のものとなるかと思われた。立ち上がりからハイテンションでボールを支配する横浜FMが、マルコス・ジュニオールの電光石火の一撃で先制点を奪ったのだ。

 強烈なプレッシャーで川崎の攻撃を寸断し、縦を意識したダイレクトのパスワークで相手を圧倒。とりわけ際立ったのは攻守の切り替えの速さで、ボールを奪った瞬間に躊躇なく前に向かい、敵陣を陥れた。

 先制点を奪ってからも勢いは止まらず、川崎を自陣に釘づけ。最強と思われたチームを翻弄するような展開に、王者の底力を見た。

 だが、これだけの強度を最後まで保ち続けることは不可能だった。15分過ぎあたりから徐々に試合は落ち着きを取り戻し、川崎がボールを持つ時間が増えていく。

 川崎の狙いは、横浜FMのハイラインの攻略にあった。そこで有効となったのは、サイドチェンジだ。