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元バルセロナの重鎮に絶賛された
「美しく勝つ」永井秀樹のヴェルディ (4ページ目)

  • 会津泰成●文 text by Aizu Yasunari
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

「型を身につけてこその型破り。基本のできていない芸は、ただの型なし」とは、歌舞伎界の名優・故中村勘三郎の口癖。ユース監督時代から取材を始めて4年余り。勝利とエンターテインメント性を両立させて「相手を圧倒して美しく勝つ」というロマンを追い続ける永井スタイルは、いまようやく基本が定着し、いよいよ「型破り」に取り組む段階までたどり着いた。

 キャプテンの藤本寛也が8月8日のFC琉球戦を最後にポルトガルリーグに移籍し、2年連続でキャプテンがシーズン途中でいなくなるなど苦しい面もある。一方で、2年目の森田晃樹、山本理仁、そしてルーキーの藤田譲瑠チマなど、ユース時代から手塩にかけて育ててきた教え子たちが着実に成長し結果を出すなど、チーム全体の底上げは順調に進んでいる。

 勝利の方程式は「引いて守ってカウンター狙い」というスタイルが主体になりがちなJ2にあって、今のヴェルディは唯一無二の存在である。90分間のボール支配そしてゴールにたどり着くまでの「美しさ」にまでこだわり、結果も出せるようになってきた。

 怪我で出遅れた大久保嘉人も復帰するなど明るい材料もある。永井は、「パーソナル・コーチング制度に限らず、既存のサッカー界の常識に捉われず、いいと思ったことは積極的に取り入れたい」と話した。

 かつて誰も経験したことのないイレギュラーなシーズン。ヴェルディ、永井スタイルはどのように型を破っていくのか。かつての読売クラブのように、常に停滞を嫌い、時に異端と言われようとも独自のスタイルを貫き通し、サッカーイノベーター(改革者)になれるのか。

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