J過密日程でメンバー固定が正解?
数字で見る各チームの戦略と成否 (3ページ目)
対照的に、勝ち点のうえでは伸び悩みつつも、メンバーを積極的に入れ替えていたのが、横浜F・マリノス、大分トリニータ、ベガルタ仙台、湘南ベルマーレの4クラブだ。
4クラブとも、先発入れ替えは1試合平均で4人を超え、5試合以上先発はいずれも5人しかいない。
なかでも、昨季王者の横浜FMは、先発入れ替えが4.8人と最も多く、試合ごとに先発の半分近くを入れ替えていることになる。
今季の横浜FMは、ちょっとしたコンビネーションの乱れから安易な失点をすることも多く、昨季のような圧倒的な強さを見せられてはいない。メンバーを毎試合のように入れ替える弊害にも見えるが、疲労という面では、肉体的な負荷を分散させながら戦っているとも言えるだろう。
当然、すべてのクラブにとって、スタートダッシュが成功するに越したことはない。しかし、だからといって、そのためにエネルギーを使いすぎ、途中で息切れしたのでは意味がない。
つまり、"メンバーを入れ替え"ながら"勝ち点を稼ぐ"ことができればベストなのだが、やはり、どのクラブにとっても"二兎"を得るのは難しい。数字はそのことを示している。
あたかも童話「アリとキリギリス」のごとく、まずは持てる力を存分に発揮しているクラブがリードを奪い、先を見据えるクラブは余力を残している状態にある。
もちろん、現実の話は、童話ほどに単純には進まないだろう。
メンバーを固定することで、先に土台を作り上げたクラブのほうが、その先の選手の入れ替えがスムーズにできるのかもしれない。あるいは、序盤戦で積極的にメンバーを入れ替えているクラブは、これといった組み合わせを見つけられずにいるだけかもしれない。
それだけに、過密日程対策においては、ふたつに色分けされたクラブが今後、どんな展開を見せるのかは興味深い。
アリとキリギリス。それぞれの動きに注目である。
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