再開後のJ1で攻撃型チームの明暗が分かれている要因を探る (3ページ目)
リーグ再開後に新たなことにトライしているなと感じたクラブが、横浜FCだ。下平隆宏監督の采配からは、自分たちがボールを保持して主導権を握ろうとする意思が伝わってくる。
中断期間中にシステムを3バックに変えて、DFラインから丁寧につないでビルドアップするスタイルにチャレンジしている。そうしたなか、スタメン起用された選手たちが躍動している。
再開初戦のコンサドーレ札幌戦は1-2で敗れたが、内容的には横浜FCが勝利していても不思議はないほど。FWの一美和成と斉藤光毅は攻撃だけではなく、前線からプレッシャーをかけるなど、守備でも貢献している。
再開2戦目の柏戦は、3-1でJ1復帰後の初勝利を飾った。つづく3戦目のベガルタ仙台戦は、先制しながら1-1で引き分け。だが、メンバーの若返りを図り、戦い方も大きく変えながら、結果を残している横浜FCの今後は、楽しみなところだ。
そのほかのチームの様子も伝えたいが、いま最も気がかりなのは、サポーターの観戦スタイルだ。7月10日から5000人までの観客入場を解禁したが、試合を重ねるごとに各会場で新型コロナウイルス感染拡大防止のための観戦ガイドラインが守られていないケースが目につく。
サッカーの観客がスタジアムに行くのは、クラシック音楽を聴くのとは異なり、エモーショナルな部分を求めているのは理解している。だが、まだ予断を許さない状況下にあることを肝に銘じてもらいたい。
5000人までの入場制限は、当初の予定から延びて8月10日まで行なわれ、その後状況を見ながらスタジアムの収容人数は最大50%にまで増える予定だ。たとえば浦和の埼玉スタジアムなら3万人まで収容できる。わずか5000人で守れないルールが、3万人に増えた時に守れるとは、とても思えない。
新型コロナウイルスについて、さまざまなことが言われているが、ひとつはっきりしているのは、このウイルスの全貌はいまだ明らかになっていない点だ。未知の部分が多い状況では、決められたルールを守ることが重要になる。
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