チームの顔・中村憲剛は該当しない。Jリーグのホームグロウン制度って何? (5ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 鹿島と広島は、このなかではアカデミー出身以外の選手(外部から獲得し、高卒後3年間所属した選手)の比率が高いが、それでも外部依存率が高いというほどではない。大迫勇也(鹿児島城西→)、柴崎岳(青森山田→)など、外部から優秀な人材を獲得してくる印象が強かった鹿島にしても、近年はアカデミー出身者が増えてきている。

 また、最近の現象として興味深いのは、"Uターン組"の増加だ。中学時代(ジュニアユースチーム)のみアカデミーに所属し、大学を経由せずにJクラブ入りしたHG選手が全部で4人いるのだが、そのうち3人が、染野唯月(尚志→鹿島アントラーズ)、田平起也(神戸弘陵→セレッソ大阪)、古宿理久(青森山田→横浜FC)と、今季のルーキーなのである。

 近年、全国高校選手権の注目度が上昇の一途をたどるなか、高校生が晴れの舞台に強く憧れたとしても不思議はない。中学時代はJクラブのアカデミーでプレーしたあと、強豪校での選手権出場を経て、古巣へ戻る。こうした歩みの選手は、今後さらに増えるのかもしれない。

 HG制度の導入は、何より育成が第一の目的ではある。だが、自分が応援するクラブで若い頃からプレーしていた選手というのは、サポーターにとっても思い入れが生まれやすい。地域密着という観点からも、HG選手の存在には大きな意味があるはずだ。

 登録選手全体のおよそ3割をも占めるHG選手は、今年28年目を迎えたJリーグがそれぞれの地域に根差しながら着実に前進していることを示す証と言えるのではないだろうか。

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