野洲高の伝説ゴールを決めた男は今、後輩の冷めた心に火を点けている (3ページ目)

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 瀧川は「僕はただ走っていただけで、ニッチョ(金本のあだ名)や(平原)ケン、(楠神)ジュンペイがいいパスをくれるんです」と謙遜するが、多少パスが流れても、快速を飛ばして追いつく瀧川の存在は心強かった。

 中学時代の主力がこぞって野洲高に進学し、高校3年時には全国優勝を果たした。瀧川はスーパーサブとして、3ゴールを記録。優勝に大きく貢献した。

 野洲高を卒業後、びわこ成蹊スポーツ大学に進学。4年間、サッカー部に所属していたが、「めっちゃボールを蹴るチームだった」こともあり、楽しみを見いだすことができなかった。

 大学を経て、滋賀県のスポーツクラブに就職。そこでは幼稚園や小学生の子どもたちにサッカーを教えていた。

「指導はめっちゃ楽しかったです。子どもたちの変化が見られた時に、やっててよかったなと思います。スクールで指導をしていた時は、子どもたちをうまくさせることだけでなく、サッカーに触れる入り口だったので、サッカーしたいな、楽しいなという気持ちにさせることを心がけていました。運動が嫌いな子もいましたから」

 大学卒業から、10年が経った頃だった。野洲高優勝メンバーの中心選手、キャプテンの金本から連絡が届いた。それは「野洲高のコーチにならないか」というものだった。

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