ジーコは新監督ザーゴに期待。「鹿島が欲するものをすべて持っている」

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳translation by Tonegawa Akiko

 鹿島アントラーズの新監督としてザーゴに白羽の矢を立てたのは、テクニカルディレクターのジーコだ。そのジーコ自身の口から、そのいきさつを説明してもらった。

「ザーゴにチームを任そうと思った理由は明確だ。彼はアントラーズに欲しいものすべてを持っていたからだ。パワー、ポテンシャル、勝利、誠実さ、レベルの高いテクニックと戦術――。彼のメンタリティーは鹿島が常に目指してきたサッカーと一致する。いつでもゴールを目指し、恐れを抱かず、勇敢で、積極的なサッカー。そしてなにより、いつどんな時も勝利しか目にないことだ。それがザーゴを選んだ一番の理由だ。

 この仕事をするうえで、私は常にできるだけ多くの情報に接するように心がけている。トップリーグだけでなく、3部や2部の試合、ユースの大会など、可能な限りすべての試合を観るし、できるだけ多くの選手や監督と知り合いたいと思う。そんななかで、私の注意を引いたのが昨年のサンパウロ選手権でのブラガンチーノのプレーだった。それはこれまでのサッカーとはかなり違うものだった。

 私はしばらくこの新しいチームを追い続けることにし、そこにとても興味深いザーゴという監督と、そのテクニカルスタッフを見出した。彼らは非常に準備のできたプロだった。

 ザーゴがピッチに描き出すサッカーは非常に興味深いもので、なにより我々鹿島のサッカーと、そして我々が目指しているサッカーと、非常に似通っていた。ザーゴのチームはとてもオフェンシブで、それこそ私が鹿島にもたらしたいと思っているものだった。

現役時代はブラジル代表、セリエAローマなどで活躍した鹿島のザーゴ新監督photo by Getty Images現役時代はブラジル代表、セリエAローマなどで活躍した鹿島のザーゴ新監督photo by Getty Images ザーゴのチームを見ていると、チームプレーの巧みさを感じる。相手にプレッシャーをかけてマークしながらも、負けるのを恐れることなく攻め続ける。目的はただひとつ。ゴールすること、勝利することだ。もしそれがうまくいかず、負けてしまっても、精神的ダメージは負わない。

 常に積極的に攻め、多くのゴールを決めて勝利を目指すのが鹿島のフィロソフィーだ。そして、ザーゴはそうしたサッカーを指導するのが巧みだった。

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