神戸が初タイトル獲得。実を結び始めた大型補強が生む好循環 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 しかし、それ以外にも、神戸は数多くの決定機を作り出していた。それを考えれば、前半のうちに3、4点入っていても不思議はなかった。攻撃から守備への切り替えも速く、事実、神戸の先制点は、左サイドからの攻撃を一度防がれた直後、DF酒井高徳がすばやいプレスで奪い返したことに端を発している。2-0というスコアをラッキーと評すのはフェアではないだろう。

 後半に入ると、神戸の3-4-3に対し、鹿島は4-4-2から3-4-3へシステム変更。前半は後手を踏んでいたサイドの攻防で巻き返し、攻勢に試合を進めた。だが、神戸の守備は最後まで破綻することなく、無失点で試合を終えた。

 ボランチとして、力強い守備で何度も鹿島ボールを奪い取ったMF山口蛍が語る。

「ここ数試合に比べれば、(試合内容は)よくなかったが、それでも勝ち切れたのがチームの成長だと思う」

 今季開幕前、神戸はJリーグのなかで最も大きな注目を集めるクラブだった。その注目は日本国内にとどまらず、世界規模のものだったと言ってもいいだろう。

 言うまでもなく、昨季途中で加入したイニエスタに加え、元・スペイン代表のエースストライカー、FWダビド・ビジャまで加わったからだ。

 ところが、注目の高さに反し、成績は低迷。J1第5節までは3勝1敗1分けとまずまずのスタートを切ったものの、第6節から泥沼の7連敗(ルヴァンカップも含めると、公式戦9連敗)。優勝はおろか、J2降格すら現実味を帯びる15位に沈んでいた。

 連敗脱出後も成績はなかなか安定せず、その間、指揮官はファン・マヌエル・リージョ監督から、吉田孝行監督を挟み、フィンク監督へと交代。超のつく大型補強がまったく成績に結びつかない状況に、冷ややかな声が聞こえてくることも多くなっていた。

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