2020.01.02

進化する全日本少年サッカー。
できるチームに怒鳴るコーチはいない

  • 木之下潤●取材・文 text by Kinoshita Jun
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 12月29日、噴煙が上がる桜島を望む、鹿児島県の白波スタジアムで、ジュニア(小学生)年代の選手たちが日本一をかけて熱戦を繰り広げた。今大会で43回目を迎える「全日本U-12サッカー選手権大会」の決勝は、千葉県代表の柏レイソルU-12(以下、柏)と神奈川県第2代表のバディーSC(以下、バディー)が激突した。

見事な逆転勝利で優勝した神奈川のバディーSC 序盤から激しい主導権争いを見せる両チームだったが、先にペースを握ったのは柏だった。

 Jクラブらしくディフェンスラインからパスを回し、ボランチが丁寧にボールを散らしながらゲームをつくる。それに応じて「1-3-3-1」(※ジュニアの試合は8人制)の1トップが起点をつくったり、サイドに流れたりしながら相手の目先を惑わし、両サイドが積極的に仕掛ける。まさにトップチームを思わせる攻撃の組み立てだった。

 やはり先制ゴールは、先にペースをつかんだ柏が挙げた。

 前半9分、クリアボールを1トップの越川翔矢が拾うと、そのまま相手陣内までボールを運ぶ。それに慌てたバディーの守備がプレッシャーをかけようとボールに集中すると、右サイドのスペースに見事なスルーパスを通した。これに反応したのが、駆け上がった三村叶夢(かなめ)。ゴールキーパーの動きを見ながらしっかりとゴールを決めた。

 それまでボールを保持される時間が長かったバディーは、もう同点に追いつくしかない。

 あとがなくなったバディーは、攻守に積極性が出始めた。とにかくボール保持者にプレッシャーをかけ続け、パスコースをつくる相手もガンガン潰しにかかった。その粘り強い守備が功を奏し、前半の終盤あたりから徐々に柏が攻めあぐねるシーンが散見された。

 後半も、バディーは全員が攻守にアクションを起こした。攻撃の中心を担う「1-3-3-1」の右サイドハーフ白井誠也が、チームがボールを持てば中央にも顔を出して起点をつくる。それに呼応して右サイドバックの加藤諒次がポジションを高めに取り、オフ・ザ・ボールの動きで相手を混乱に陥れた。